トランプが「核の傘」放棄発言をしたことにお気づきですか?

核武装させるのかカネを取りたいだけか
河東 哲夫 プロフィール

日本は米、ロ、北、中から何を引き出すべきか

こうしてものごとは結局、日本がいくら支払うか、ということに落ち着くだろう。せめて過度の資金負担を避けると同時に、支払うばかりでなく、そこから最大限の対価を引き出してもらいたい。

例えば日本は、イージス・アショアや中距離ミサイルの本土配備を最終的にどうするかは別にして、これらが案の段階でも、ロシアや中国との交渉の具として用いることができる。

ロシアに対しては、極東への中距離ミサイル配備を阻止するために相討ちの材料とする。北朝鮮に対しては、もちろん抑止力となる。

中国に対しては、同国が100基以上保有すると推定される中距離核ミサイルを削減させるため、米国・ロシアと3者で核ミサイル削減交渉に入る(トランプが既に提唱しているが、中国は拒絶している)よう求める具にすることができる。

米国に対してはカネを支払うにしても、西太平洋に配備される中距離ミサイルについては、その一部を日本とのDual Keyの対象とするよう要請する。つまり日本が核攻撃の脅威にさらされた場合、日本政府は米国に要請して、中距離ミサイルを発射してもらう確約を得られるようにするのである。

そんなことができるはずがないと思うかもしれないが、これはドイツが西独の時代から、米軍と合意している方式である。ドイツに駐留する米軍機が搭載する核爆弾は、有事にドイツ政府が要請し、それに米政府が同意すれば、使用されることになる。

もっとも日本の場合、自国の領土に配備を認めずにドイツと同じことを要求しても、米国に相手にされないかもしれないが、核搭載の米軍艦船の日本寄港を認めることで、日本の発言権を高めることができるだろう。

 

それも難しいということならば、例えばNATOで冷戦時代からやっている「核計画グループ」(米、英、仏が保有する核兵器の現状を把握するとともに、それぞれの任務分担を確認)のようなものを日米で正式に立ち上げるとともに、日米間で原子力技術交流・協力の強化を約束することによって、日本が独自の核兵器を開発し始めたのではないかという猜疑心を周辺諸国に持たせる、そしてそれを抑止力とするようなことも考えられる。

トランプ大統領の出現は、日本にとっては対米自主性を取り戻す好い機会なのだが、日本の政策決定層は軍事のからむ戦略策定から遠ざかること既に74年。すっかり草食化、受動的になってしまった。

おそらく冒頭の安全保障問題担当トリオ、そして総理秘書官も加わって戦略欠如、かつバラバラの対応をして、米国にいいようにしゃぶられて終わる結果となるのだろう。