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トランプが「核の傘」放棄発言をしたことにお気づきですか?

核武装させるのかカネを取りたいだけか

日本メディアでは気がつかない爆弾発言

8月25日、G7先進国首脳会議の際に行われた日米首脳会談の際、両首脳は共同で記者の質問に答えた。その時トランプは何気なく、しかし実は大変なことを言ったのである。

「北朝鮮のミサイルで米国に届くような長距離のものは脅威だが、中距離以下のものについては安倍総理の問題だ」と。

これまで「拡大抑止」とか「核の傘」とか言われてきたもの、つまり日本の核武装を認めない代わりに、米国の核兵器で日本に「傘をさしかける」という政策を、トランプはたった一言で引っ繰り返したのだ。

もちろん、米国防省は核の傘はこれまで通り有効であるという説明を繰り返すだろうが、トランプの本音はこれで明らかになった。

彼はこれまでのやり方を反故にして、日本に核武装を認めるつもりなのか。また、たとえそうだとしても、日本は核武装できるのだろうか? 必要なのだろうか?

 

トランプの発言に、横にいた安倍総理は顔をしかめたが、言葉で反応することはしなかった。日本のメディアも、ことの重大性に気づいていないかのように、何もフォローしていない。

そして9月11日の内閣改造では、外相に茂木敏光・前経済再生担当相、防衛相に河野太郎・前外相という、米国とのコネの深さを競り合う2者が指名され、13日には国家安全保障局局長に警察出身の北村滋氏が任命された。

警察官僚は、核問題を外交・安全保障戦略の一環として考えることはないし、情報畑出身の彼は情報を下僚とシェアするよりは下僚から情報をただ吸い上げて、あとは上司とブラック・ボックスの中で処理するというアプローチを取るだろう。それでは、安全保障政策について政府内の調整はできない。

今後、核戦略で日米のすり合わせが始まると、日本の外相、防衛相、国家安全保障局局長の3者が米側とばらばらに連絡を取り合い(それぞれカウンターパートが違う)、功を焦って安易な妥協をしてしまう可能性がある。

また核戦略についての報道は、国際情勢、核戦略についての知識と経験を必要とするが、政治部主体の日本のメディアは、もっぱら日本の国内政治の文脈でしか報道せず、結局は日本政府の手を縛り、米国の核の傘に対して日本がカネを支払うだけという「ざんねんな」結果で終わらせてしまうだろう。