このタイミングで消費増税とは…
10月は慌ただしい。1日から消費増税がスタートし、4日には臨時国会が召集される。
この臨時国会では、立憲民主党の枝野幸男、国民民主党の玉木雄一郎、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の野田佳彦各代表が会談し、衆参両院で会派を合流させることで合意している。
会派の名前は、衆院が「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」、参院は「立憲・国民・新緑風会・社民」。長ったらしいので、「出戻り民主」、「帰ってきた民主」、「ともに民主」、「もと民主」でも、何でもいいだろう。マスコミは「旧民主」あたりの略称で呼ぶのだろうか。
10月からの10%への消費増税に対し、本コラムではこれまでも、山積みとなっている国際経済の不安定要因を指摘してきた。具体的には、(1)米中貿易戦争、(2)イギリスのEU離脱、(3)日韓関係の悪化、(4)ホルムズ海峡の緊張などだ。
これらは順に、すでに現実となっているものから、起こる公算が高いと筆者が考えているものとなっているが、とうとう一番可能性が低いと思われていた(4)ホルムズ海峡の緊張も懸念だけでは済まない状況となってきた。
9月14日、サウジアラビアの石油施設が爆撃された。サウジアラビア国防省は18日、「イランの巡航ミサイル7機と自爆ドローン18機による攻撃だった」と発表した。アメリカのポンペオ国務長官も、イランの犯行と断定した。
これに対し19日、イランのザリフ外相は同国の関与を否定し、「アメリカかサウジアラビアがイランを攻撃した場合は全面戦争となる」と警告した。
すでにアメリカは、イランに対して最大の経済制裁を課すといい、イラン中央銀行などとの取引を制裁対象にした。もっとも、イラン中央銀行は以前から海外金融機関との取引を禁じられているので、今回の措置には実際の制裁の効果を期待しているというよりも、「軍事オプションも辞さない」というアメリカ政府からの政治的なメッセージが込められている。
軍事オプションには、(A)イランに対するサイバー攻撃、(B)イラン(革命防衛隊)のミサイル基地に対する攻撃、(C)イラン南部の石油施設への攻撃などが考えられるが、まずアメリカは(A)から仕掛けていくだろう。
それが軍事攻撃までエスカレートするかどうかは、現時点で不明である。安倍首相は、今週23~26日にニューヨークを訪問し、国連総会冒頭の一般討論演説を行う。24日にはイランのロウハニ大統領、翌25日にはトランプ大統領と会談し、中東情勢について協議する予定だ。
いうまでもなく、ホルムズ海峡のゴタゴタでとばっちりを食うのは、アメリカではなく日本だ。中東からの石油は日本経済の生命線でもある。
アメリカは、国内のシェールガスでエネルギー輸出国になっているので、中東ではイスラエルの国益だけを考えていればよく、ひょんなことから軍事オプションへ移行するかもしれないリスクがある。
9月9日の本コラム【残り3週間!「消費増税で日本沈没」を防ぐ仰天の経済政策がこれだ】で筆者が提案した経済政策は、ホルムズ海峡情勢がますます不安定化するいまこそ、この臨時国会で本気で検討されるべきだろう。