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韓国・文在寅政権の「失敗」を、なぜか日本が「マネ」しかねないワケ

最低賃金引き上げの功と罪
中原 圭介 プロフィール

弱者から切り捨てられる

直近の寄稿『「最低賃金1000円」実現で、これから日本で起きるヤバすぎる現実』でも述べたことですが、これまで企業の現場を見てきた立場から申し上げると、収益性が高い大企業の経営には、最低賃金を10%上げてもほとんど影響がありません。

しかしその一方で、余力が少ない中小零細企業の経営には、最期の手段として社員やアルバイトの人数や労働時間を削減するしか選択肢がありません。その時に苦しい立場に陥るのは、労働集約型の低賃金な仕事しかできない人々です。

行き着くところ、最低賃金の大幅な引き上げは、もっとも社会が手を差し伸べなければならない人々を追い込んでしまうのです。

 

それでは、大学の研究者の世界では、最低賃金の引き上げがもたらす副作用をどのように検証しているのでしょうか。川口大司・東京大学教授らの実証研究論文では、男女別に若年(19~24歳)、成年(25~59歳)、老年(60~64歳)と年齢階層を分けたうえで、最低賃金の引き上げについて雇用への影響を検証しています。

2002年~2017年の16年間のデータから明らかになったのは、男性若年層、男性成年層の順に雇用へのマイナス効果が大きく、とりわけ男性の低学歴層が悪影響を受けているということです。

多くの類似する研究のなかで、失業の経験が人々の生活水準や生活満足度に重大なマイナスの効果をもたらすことが報告されています。そういうわけで、最低賃金の引き上げが雇用にもたらすマイナスの効果を軽視すべきではありません。

日本だけでなくアメリカやドイツの研究論文も示しているように、最低賃金の引き上げが高卒以下の学歴を持つ若年男性の雇用、賃金、労働時間などにマイナスの効果を持っていることには注意を払うべきなのです。

これが大幅な引き上げとなれば、その影響の広がりは若年男性だけにはとどまらないでしょう。