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韓国・文在寅政権の「失敗」を、なぜか日本が「マネ」しかねないワケ

最低賃金引き上げの功と罪
中原 圭介 プロフィール

大きな過ち

会社員の夫に扶養される60歳未満の妻(3号被保険者)は、収入が基準以下であれば年金や医療にかかる保険料を負担しなくてよいことになっています。とりわけ従業員のアルバイト・パート比率が高い小売業・飲食業などサービス業では、収入を基準ぎりぎりで調整している主婦が多いという問題があります。

そういった理由から時給が上がり過ぎると、保険料の負担が発生しないように働く時間を減らす女性が思いのほか多いのはご存知の通り。

〔photo〕iStock

結局のところ、ただでさえ人手不足に悩んでいる小売店や飲食店は、現役世代の主婦の就労調整によってますます人手不足に拍車がかかるため、未経験の高齢者を中心に新しいアルバイト・パートを雇って穴埋めせざるをえません。

経験を積んで賃金が上がった(=生産性が高まった)主婦層が働く時間を減らすかたわらで、未経験で賃金がより低い(=生産性が低い)アルバイトやパートが増えてしまうので、1人あたりの生産性が下がってしまったのです。

 

このような意図したことと反対のことが起こってしまうのは、日本の現状をしっかりと把握することなく、生産性が低いという数字だけで政策を考えてしまっているからです。

生産性という数字の背景には、各々の国によって生活スタイルや価値観、税制、社会保障などが異なっているという事情があり、一様に並べて比較するのは短絡的すぎるといわざるをえません。

最低賃金を引き上げるペースをもっと上げるべきだと主張する識者は、数字だけを見て実態を見ないという過ちを犯していると思います。