ここまで来るのに5年かかった
しかし、タイミングと場所をいくら考えても、なかなか聞く耳を持ってくれない人もいます。

まさに昔の私のように、自分の感情ばかりで話して人の話はあまり聞けない人……。
そういう人に聞く耳を持ってもらうのはすごく難しいことです。こちらから意見を言ってしまうと、黙り込んでしまうこともあります。聞きたくない気持ちが先に来てしまうからです。
そういう人に対しては、こちらの話は脇に置いて、まず自分や会社の不手際から話すようにします。「そういえばこの間、こういうことがあったと思うんだけど、あれ、本当にごめんね」という具合です。
そうして、向こうの不満や気になっていることを先に聞いてみるのです。すると、相手もしっかりと話してくれるようになります。
回り道かもしれませんが、一方的に伝えるのは「会話」ではありません。会話は双方が話して初めて成立するものです。話す前にその関係を先に作ります。
昔はなんでもすぐ電話して、思ったことをストレートに伝えていました。しかも、鬼電……。相手には相手の言い分や思いがあります。それを無視して一方的に「こういうことがあったんでしょ? なんでそういうことするの?」と、怒っていました。
自分と相手の状況を考え、タイミングを選んでまずは聞く。そのうえでこちらの話をする。
それが、5年かけて私が編み出した「理解してもらう技術」 です。面倒に思われるかもしれませんが、これができるようになってからは逆に、社内の業務も減り、会社は大きく変わりました。