2019.10.01
# 倒産

販路も技術力もあった「有力企業」の倒産劇、「最大の原因」とは?

「強み」が裏目に出た
帝国データバンク情報部 プロフィール

ニーズに合わせるべきだった

靴・サンダル業界も例外ではなかった。消費者のニーズは1万円前後の高価格帯、もしくは1000円以下の低価格帯に分かれた。

Photo by iStock

しかしマルチウの商品の価格帯は、1足2000円から3000円の「中価格帯」が中心だった。

同業の各社が値下げ競争を繰り広げる中、マルチウが値段を下げられなかったのは、自社の商品企画力を発揮したものづくりにこだわっていたからだ。そのために中価格帯の商品販売から脱することができず、消費者ニーズに的確に対応できなかった面は否めない。

もっといえば、これこそがマルチウ倒産の最大の原因と見ていいだろう。自社らしさへのこだわりは大切だが、それが業績悪化に直結するようでは本末転倒だ。

「高価か安価か」という二極化した消費者志向をつかみ、それに応えるような商品展開を模索していれば、同業他社との競争に勝てる目はまだあったかもしれない。

 

さらに、デフレ不況によって、主要販売先の大手靴小売チェーンの店舗が減少したことも、マルチウの業績に響いた。

こうした要因に加えて、以下の2つの影響も無視できない。

1つ目は、販売先で独自のプライベートブランド商品を製造・販売する動きが拡大したこと。「商品を製造する者」「商品を販売する者」という分担構造が崩れたことで、マルチウのようなメーカーは少なからぬ販路を失うことになった。

これが追い打ちとなって、販売先の仕入れ数量の減少が続くという、負のスパイラルから抜け出せなかったのだ。

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