Photo by iStock
# 倒産

販路も技術力もあった「有力企業」の倒産劇、「最大の原因」とは?

「強み」が裏目に出た
幅広い商品展開で、サンダル類の生産高では全国トップクラスを誇ったマルチウ産業。広範な販路と高い技術力をあわせ持つ有力企業が、なぜ倒産への道を進むことになったのか? そこには「少子化」と「デフレ」という時代の変化によって生じた、大きな誤算があった……。著書『倒産の前兆』がある企業信用調査会社「帝国データバンク」が、マルチウ産業の末路をひもとく。

「ライセンス商品」で絶好調

マルチウ産業(以下、マルチウ)は1968年5月に設立され、サンダル、ビーチサンダルを主力に、スニーカーやケミカルシューズなどの靴類を外注で製造してきた。

Photo by iStock

設立以来、順調に事業を拡大させ、全国に一次、二次あわせて約120社の販売代理店を持ち、ピーク時の2002年3月期の年売上高は約54億1600万円を計上していた。

この好業績を支えていたのは、多数のブランドライセンサーとの間で結んでいた、ライセンス契約だ。マルチウは、サンリオ、バンダイの人気キャラクターをはじめとしたライセンス商品を取りそろえ、老若男女問わず幅広い商品を企画してきた。

 

サンダル、靴ともに、サンリオを中心とするキャラクターライセンサーと組むことで、人気キャラクターを利用できる点が、マルチウの最大の強みだったのである。

とくにサンダル類の生産高は全国でもトップクラスを維持し、材料の仕入れ面で、生産規模が大きくなるほど経済効率が上がるというメリットがあった。

その中で、労働力の安い海外外注先の開拓にも積極的に取り組む。会社設立以降、製造加工は、子会社のマルチウ大船工業など国内の外注先で行なってきたが、徐々に中国、台湾、ミャンマーのメーカーに外注先をシフトし、価格競争力の維持・向上に努めたわけだ。