これは、新しい異類婚姻譚かもしれない

しかし事態は9/26に急転する。疲労がたまった山本はオフィスで耳と尻尾を出してしまう。変化の解けかけた山本を、まどかは上司の視線から庇う。

翌日、山本は出社しなかった。誰も彼のことを覚えていない。実家があった場所も更地になっている。「迷惑かけてごめん」というLINEメッセージだけが届き、それきり連絡は途絶えた。

「CLASSY. 2019年10月号」より

9/29、まどかは山本を探すため、初めて出会った山へ向かっていた。

「山本くんっ!返事してっ!」

声の限り叫び、山を歩き回る。10月号の特集《デニム》は山歩きにぴったりだが、山本は姿を見せなかった。

9月最終日。傷心のままオフィス街を歩くまどかの耳に、ふいに不思議な声が届く。はっと顔を上げると山本が立っていた。

「人間になれるよう、父に頼んできた。まどかさん、これからは人間として一緒に生きていこう」

まどかは喜び、彼に寄り添いながら囁く。

「私も覚悟はできてるよ!一緒に幸せになろうね(ハート)そうだっ!人間になっても、狐王国への里帰りは積極的にしようね!」

9月最後の4日間に、この説話の新しさが全て詰まっている、と私は感じた。