Photo by iStock

クジラ、ウナギの次は「マグロ」が食べられなくなる可能性

すでに絶滅危惧種に指定されている

「このままだとクロマグロが日本のスーパーから消えるかもしれない」

ある水産族の自民議員はこう嘆く。今月初めに開かれたクロマグロの資源管理をめぐる国際会議で、日本が主張した捕獲枠の増枠が主に米国の反対で実現しなかったためだ。その影には、圧倒的な政治力を持つ環境保護団体の影もちらついている。

 

台湾から枠を譲ってもらったが…

国際会議「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会が9月3日に米国ポートアイランドで開かれた。

日本をはじめ、米国や中国、台湾、韓国など10ヵ国からなるWCPFCの北小委は、2015年から参加国に資源減少を理由として、マグロ類の漁獲上限を導入している。

今回、日本は「すでに資源量は回復している」と主張して漁獲上限の引き上げを求めたが、環境保護を訴える米国側が強硬に反対し、実現しなかった。

日本のクロマグロ漁業者、特に沿岸で操業する中小業者にとって、漁獲上限の導入は死活問題だ。専門紙記者はこう話す。

「クロマグロは1kgあたり平均5000円前後、1匹で数百万円〜最高級品になると数千万になる高級食材です。漁業者からすれば、一匹とれるかとれないかでその年の生活が大きく左右される魚種だと言えます。

クロマグロの漁業者は大きく分けて、30kg以上の大型魚を狙って沖合漁業を営む大手業者と、30kg未満の小型魚を狙う沿岸漁業の中小業者に分かれますが、WCPFCによる漁獲上限は小型魚のほうが厳しく設定されている。漁業者の体力からしても、中小業者の経営に与える打撃が遙かに大きい。

昨年から、もし都道府県が持つ枠を超過して漁を行った場合には3年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されるようになり、獲り過ぎを警戒して思うように漁獲量を確保できない事情も出てきました。この窮状に、昨年6月には中小業者が『大手業者の有利な漁獲枠を見直せ』と訴えて水産庁前でデモをするほど、不満が溜まっている状況です」

Photo by iStock

今回のWCPFCでは日本の漁獲枠の増枠は実現しなかったが、水産庁は台湾から枠を譲ってもらう形で、国内業者に対する責任を果たした格好となった。自民党の水産族議員はこう解説する。

「何の成果もなしで帰国したら、水産庁は確実につるし上げに合いますから、台湾と必死で交渉したわけです。実は、大型漁業者からなる業界団体は水産庁の有力な天下り先になっており、退職後のポスト確保という事情もある。モチベーションは嫌でも高まったことでしょう。

ただ、今回はたまたまうまくいっただけで、来年以降も漁獲枠を譲ってもらえる保証はありませんし、何より台湾に大きな貸しを作ってしまった。台湾は、サンマやウナギなど他の魚種でも交渉しなければならない相手なだけに、今後どんな譲歩を迫られるか心配です」