# 経済・ビジネス

Yahoo!のデータサイエンティスト集団は、ヤバい探偵団だった!

ビッグデータ分析は新しい「社会学」だ
現代新書編集部 プロフィール

安宅さんが発電機なら、池宮さんは高性能コンピューターである。「本当はアンドロイドでしょ?」と思うぐらい、とにかく仕事にソツがない。

米沢「それでは、こちらとこちらの作業を池宮さん側でお願いできればと思うのですが……よろしいでしょうか」
池宮「はい。(パチパチパチ。パチパチパチパチパチパチ。パチパチ……ひたすらパソコンを打つ音……パチパチパチ。パチ)わかりました」
米沢「……」

こうして、書籍化の準備は着々と進んでいった。

 

ドクターとママとサバ王

無事に書籍化が決まり、これらの刺激的なレポートを作っている「ビッグデータレポートチーム」が集まるミーティングにも出席させてもらった。安宅さんを中心とするこのチームのメンバーは、こちらの予測どおり、というか、期待以上に凄くてヤバくて面白くて、そして何よりも魅力的な人たちだった。

位置情報や検索ログなど、人間の行動データから日本全体の実態を浮かび上がらせようと日夜研究を重ねている「位置情報(ロケーション)ドクター」こと坪内孝太さん。

自身の出産・育児をきっかけに母親の悩みをデータで可視化するなど、自分の周囲の「問題解決」に努める「キラキラデータママ」こと稲葉真裕さん。

「音楽CDが売れると、サバの漁獲量も増える」ほか、「自民党の支持率とジャガイモの卸売数量」や「公明党支持率と大豆製品の家計支出額」には疑似相関性があるなど、不思議な発見を続けている「サバ王」こと草野真史さん。

私はまったくの素人だが、断言してしまおう。これからのデータ・アナライシス&データ・サイエンス界隈を支える逸材ぞろいである。

「この人たち……みんなでビッグデータを調べて、新しい事実を突きとめていく。まるで安宅さんを団長とする探偵団みたいだな」と思った。

結果的にそれが本のタイトルになった。

データを見て、真実を発見する、それが「ビッグデータ探偵団」(photo by iStock)

「AI対人間」でなく「AIと人間」で

最後に、「ビッグデータ探偵団」安宅団長の以下の言葉を紹介したい(一部修整)。私(青木)がこの本でもっとも伝えたかったこと、この本に込めた魂のような思いが、この短い文章の中にすべて入っていると思うからである。

ビッグデータがその本来の価値を発揮するためには、生身の人間の力が不可欠である。膨大なデータを解析し、処理するにあたっては、当然ながらコンピュータやAIの力を借りる必要がある。

だが、それをどのように活用するかを考えるのも、その決断を下すのも、人間だ。データの力とAIの力を解き放ったあと、最終的に必要となるのは、生身の人間の感じる力、決める力、伝える力である。

矛盾しているように思われるかもしれないが、テクノロジーが進化し、AIやデータが当たり前に使われるようになるこれからの時代においてこそ、データを使う人間自身の生の体験や考え方こそが、重要となってくるのである」

生まれ変わったら、彼らのような仕事がしたいなぁ――私は真面目にそう思った。

(文責: 現代新書編集長:青木 肇)