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米中貿易戦争が新局面へ…「闘争」が中国・習近平の権力を強固にする

時間はタップリある

潮目が変わった

ドナルド・トランプ米大統領は9月11日、10月1日発効予定の2500億ドル(約27兆円)分の中国製品に対する制裁関税(現行25%から30%への引き上げ)を同15日に先送りすると発表した。

 

10月1日の中国建国70周年記念式典を控えた中国側の関税拡大の延期要請を容れた米側の対中配慮である。一方の中国は翌日12日、米国産の大豆100万トンの緊急購入を発表し、トランプ大統領から米中貿易交渉を巡る「暫定合意の検討」発言を引き出した。

こうした中で、10月初旬のワシントンでの米中閣僚級協議を前に両国間の駆け引きが活発化している。習近平主席の側近である劉鶴副首相は訪米し、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、スティーブン・ムニューシン財務長官と会談するが、その直前の今週末に同地で開かれる実務責任者レベルの次官級協議に変化が見られたのだ。

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当初、中国側代表団に鍾山商務部長が同行すると見られていたが、急きょ廖岷財政次官が代表団を率いてワシントン入りすることとなったのだ。貿易タカ派の鍾山氏を廖岷氏に差し替えたのだが、同氏は金融ファイナンスの専門家であり、共産党中央財経指導小組弁公室主任を務める劉鶴氏直系の副主任でもある。

こうしたことから、廖氏のミッションは現下の米中貿易戦争の「一時休戦」状態を10月の閣僚級協議で大きな進展が得られるようにカウンターパートであるジェフリー・ゲリッシュUSTR次席代表と共に“好ましい”状況を作り出すことである。

従って、中国サイドは10月閣僚級協議までに大豆、豚肉など米農産品購入の拡大や、米側が強く求める構造問題(市場アクセス、技術移転強制、知的財産権保護など)で一定の譲歩を提示する可能性がある。「一時休戦」を「休戦協定」に進めたいのだ。

劉鶴副首相は9月12日、北京で会談したエバン・グリーンバーグ米中ビジネス協議会(USCBC)議長に追加関税延期の決定を歓迎すると語っている。奇しくも10月15日は対中追加関税発効の日であり、米財務省の半期に一度の為替報告書の発表日でもある。二つのデッドラインを迎えるのである。