タワマンの「一斉老化」が止められない…日本を蝕む「不都合な真実」

維持・管理のノウハウがどこにもない
山岡 淳一郎

「タワマン人気」は衰え始めた

そうした状況で、冒頭で触れた「晴海フラッグ」での異変が起きたのである。

晴海フラッグは、大手ディベロッパー11社のグループが13万4000平米の広大な旧都有地を相場の10分の1の超安値で東京都から買い取って開発している。「違法、不当な都民財産の売却」と東京都知事を相手取った民事訴訟も起きた。ディベロッパー側は事業収入が想定よりも上回った場合、その半額分を都に追納すると約束している。よほど後ろめたい土地仕入れだったのだろうか。

ともかく、大会終了後、選手村の建物はマンションに改修され、タワー型2棟が新築される。総戸数5632戸のうち分譲が4145戸。1期600戸の販売が終わっても、まだ3500戸以上売られるので慌てる必要はない、と多くの顧客は判断したとみられる。

ようす見の背景には、超安値で土地を提供された晴海フラッグの販売価格は、今後、近隣相場よりも下げられるとの見方がある。官有地の安値払い下げで暴利をむさぼるのは許さない、と厳しいまなざしが注がれている。

加えて「タワーマンション自体の人気が衰えてきた」とマンション投資業者は言う。

「タワーマンションは、長期的に安定した家賃収入が得られる、低金利時代の希望の光。相続税評価が低く、節税効果が高いと説明されてビジネスマンが手を出しましたが、さすがに供給過剰。以前ほど儲からない。それに長く住むとなると、いろいろ厄介なことが出てきてファミリー層がためらうようになってきました」

「いろいろ厄介なこと」こそ、タワーマンションの「不都合な真実」なのである。

 

衝突するタワマン住民たち

では、具体的に述べていこう。

まず、区分所有者でつくる管理組合の運営の難しさが挙げられる。多くの購入者は、「めんどうなことは管理会社が全部やりますから」と言われ、安心してしまう。だが、マンションの維持管理の法的、実務的な主体は管理組合だ。区分所有者が住民総会で議決権を行使し、15~16年に一度の大規模修繕の実施や、管理規約の変更などを行う。

タワーマンションの場合、一棟に数百~千戸規模の住戸が入っており、上層階と下層階では生活水準が異なる。高さが格差を生み、多様な価値観を持つ住民を、一つの管理組合がまとめるのは容易ではない。

横浜市港南区の駅前開発で建てられたタワーマンションでは、旧地主が店舗や事務所に賃貸する1~5階と、新規分譲で住民が入った6~30階の意見が衝突。不合理と知りつつ大規模修繕を別々に行ったケースもある。