小説『キッズファイヤー・ドットコム』では突如子育てをしなければならなくなったホストを主人公とした海猫沢めろんさん。同署は「ヤングマガジン」で漫画化もされており、KCも刊行している(1話無料試し読みはこちら)。ご本人もホストの経験があり、かつ現在小学2年生の男の子の父親でもあり、子どものいるパパの仕事あるある満載だ。

ところで、これは海猫沢めろんさんのFRaU Webでの連載だが、実はひと月以上間があいてしまった。「めろんさん、次の原稿お待ちしてます」と言ってから早ひと月。夏休みを経て担当が理解したのは、「めろんさんは長期休暇だと仕事ができないらしい」ということ。

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と思ったら、夏休み明けに一気に原稿が送られてきた。
そこには、かなり身勝手ながらも、なるほど! たしかに! とも……感じる? めろんさんの「家族論」があった――。

海猫沢めろんさん連載「パパいや、めろん」今までの記事はこちら

ぼくは家族と暮らすと小説が書けない

ついに夏休みが終わった。

実家に父子帰省したぼくであるが(そういえば朝日新聞がとりあげたせいか父子帰省という言葉をネットで急にみかけるようになった)なにひとつ仕事を進められず、新海誠映画の空に逃げ込みたい……という想いが高まり、ずっと雲の絵を書いていた。

予想はしていた。

ぼくは家族と暮らしていると小説が書けない
古今東西、多くの作家がこの悩みで家庭を破壊してきたのを知っている。自分もそういうタイプだというのは知っていた。
ではどうすればいいのか?
これは自分自身の欠点なので、自分でなんとかするしかない。家族にあたっても仕方ないのである。

執筆しているあいだ、作家は……いや、ぼくは頭がおかしくなる。

書き終わるまでずっとおかしくなる。それ以外のことはなにもやりたくなくなり、常にイライラして世界のすべてを呪う。

めろんさんは関係ありませんが、日本で「作家」と言えば!のイメージ。大ヒット中の映画の主人公太宰治も日本を代表する小説家です。ヤバすぎる実話! 『人間失格 太宰治と3人の女たち』公式HPより

そのような状態で家族と接するのはあまりにもストレスで、何度も爆発した結果「もうこれは……無理だ。いつか大変なことになる」とあきらめて、本当に書かなければならないときは、ぼくがどこかへ失踪するか、家族をどこかへやるかに決めた(ちなみに『キッズファイヤー・ドットコム』の後半も、夏休みに妻と子供を実家に送り返してひとりで書いた)。