「4次元」の感動的な世界、誰でもすでに「基礎」として知っています

「高次元」はSFだけの話ではなかった
小笠 英志 プロフィール

子供の頃、初めて殴り合いの喧嘩に勝ったときに、世界が今までより輝いていませんでしたか? 初めて恋人ができたときに、世界の光が今までと違った色をしていませんでしたか? 高次元が初めて見えたときは、きっとそれ以上の感動があります。

みなさんの中にはSF 映画や小説、マンガが好きな人もいるでしょう。高次元空間の基本を知ると、今までとは少し違った、SFの楽しみ方を知ることができるでしょう。

高次元は科学の基礎

高次元空間というのは、実は昔から科学のどの分野でも基礎のひとつなのです。理科系の大学に行っていた人ならわかると思いますが、大学1~2年の数学や物理で、高次元空間を習います。そして、世界中の研究所や大学で研究されています。

どうして高次元空間が昔から科学のどの分野でも基礎なのかといいますと、科学のたいていの分野では多変数から多変数への写像を扱うためです。

たとえば、x, y, zの3変数から、1変数wへの関数が登場します。この場合、この関数のグラフを描こうとしたら、どこに描けばいいでしょうか? 1次元の直線でしょうか。2次元の平面でしょうか。それとも、3次元空間でしょうか。

ごく大雑把にいいますと、x, y, z, wの4個分の自由度があるので、4次元空間の中に描くことになりそうな気がしますし、実際そうです。そうなると、高次元空間の中の図形の形を考えることは必須となります。

経済学やそれを含む社会学でも、このような多変数から多変数への写像を用いますので、高次元空間というのは、昔から基礎のひとつなのです。いわば、実は高次元空間についての考察は、すでに社会の基礎のひとつといえるのです。

頭の訓練にも、美の追求にも、役に立つ

また、高次元のことを考えると、頭の訓練になります。高次元をあまり使わない学問分野の頭もよくなります。日常生活での頭の回転も向上します。

あるいは美を追求する人も、ぜひ高次元を学んでみてください。4次元や高次元の中の図形を初めて観たら、その美に打ち震えるでしょう。美を観賞するという面でも高次元を体験する意味はあります。

高次元は、紙と鉛筆さえあれば、いえ、紙と鉛筆もあまり使わずに、想像力だけで創造できるものです。世の中には本当にそういうことのできることがあるのです。ぜひ体験してみてください。

高次元を考えることは、それ自体、この世で最も感動的なもののひとつです。それだけでなく、高次元空間というものは、我々の住んでいる空間の中だけを調べていても必要になるのです。

たとえば、われわれの住んでいるこの空間の中に結び目を作ります。図0.1のようなものや、もっと複雑なものも作れます。

「その結び目にはどのような種類があるのか?」という極めて自然な問題を考えると、それを調べるには、なんと高次元の複雑な図形が必要になってくるのです。そのような高次元の図形の一例としては、コバノフ・リプシッツ・サーカー・ステイブル・ホモトピー・タイプというものがあります。

最後に『高次元の図形を見る方法』では、実際に高次元の図形を見る、作ることを、体験してもらいます。計算はほとんどなしで、初心者が気合いだけで見られる易しい例を用意しました。

たとえば、前述のように、4次元をつかって図0.1の結び目を図0.2のように持っていく手品です。ぜひご堪能あれ!

みなさん、直感力に磨きをかけて高次元空間を直覚してください。

高次元空間を見る方法

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