W杯開幕、ラグビーが「日本人の意識」を変えるのかもしれない

元日本代表が語る「ラグビーの魅力」
山川 徹 プロフィール

海外出身選手の「決断」

では、大西が語る代表資格とは何か。

04年に来日したトンプソンは、三洋電機(現パナソニックワイルドナイツ)や近鉄ライナーズでプレーを続けた。3年間継続して日本に居住した結果、ニュージーランド国籍でありながら日本代表として第6回W杯に出場できた。だが、第7回W杯前に日本人として戦いたいと考えて、日本国籍を取得する。

トンプソンは〈通算3年間継続して、その国に居住〉の条件を満たして代表資格をえたが、ほかにも〈その国の出身〉〈祖父母、両親がその国出身〉〈累積10年間、その国の居住〉などに該当すれば、代表資格をえられる。

ちなみに、来年末から3年居住は5年への変更が決まっている。

 

日本代表キャプテンのリーチマイケルは15歳で北海道の札幌山の手高校に留学した。その後、東海大学で学び、東芝ブレイブルーパスでプレーしている。彼もすでに帰化しているが、当初は3年以上居住した日本と、母のふるさとであるフィジー、そして生まれ育ったニュージーランドの代表になる資格を持っていた。大西は語る。

「彼はニュージーランド代表の実力があるにもかかわらず、日本を選んでくれた。1度日本代表になれば、もうニュージーランド代表としてプレーすることはできません。大変な覚悟を持ち、決断してくれたんです」

他国でも母国と異なるルーツを持つたくさんの選手が活躍している。

ガイドブックの選手プロフィールを数えていくと、日本大会でもっとも海外にルーツを持つ選手を起用するのが、31人中18人のアメリカ。16人がメンバー入りした日本以外にもサモアやトンガ、スコットランド、オーストラリアも10人以上の海外出身選手がメンバーに入っている。外国人選手がいないのは参加20ヵ国中、ナミビアとアルゼンチンの2ヵ国に過ぎない。

前回W杯で史上初の2連覇を果たした世界一のラグビー大国であるオールブラックスにも、トンガ、フィジー、サモアの選手が1人ずついる。逆に50人以上のニュージーランド出身選手が母国以外の代表として出場する。

ラグビーは、グローバル化によって人の流動化が進んだ現代の国際社会を象徴するスポーツとも言えるのだ。