すべては“模倣”から始まった

――ゆりやんさんといえば、2年前、第一回「女芸人No. 1決定戦 THE W」で優勝し、今年6月には、アメリカの人気オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演。テンポのいい英語のやりとりと独特のダンスで、会場からの笑いを誘った。

ガツガツと攻め込むのではなく、女性らしい愛くるしさと、鈴を転がすような声で、漫才で言うところの“天然ボケ”的なおかしみを、たった一人で醸し出す。

お笑いと英語。「将来の夢」を考えた時、あまり両立されそうにないその二つの要素に、彼女がのめり込んだ原点は、すべて小学校時代にあるという。

「合コンや! 合コンの時間や!」

奈良県の吉野にある小さな小学校では、毎日、お昼休みになると子ども達のそんな声が響き渡っていた。ゆりやんさんの学年は、女子が6人に男子が6人という構成。とても仲良しで笑い上戸だったクラスメートは、毎日、給食の時間になると、みんなで「合コンや!」と言いながら、机をくっつけながらはしゃいだ。

「12人全員吉本新喜劇が大好きで、『将来は吉本新喜劇に入って、大阪で活躍するんだ!』という野心を抱いていました(笑)。小学2年生の時、学校で発表会があって、他の学年は、環境問題について調べたり、お芝居をしたりしていたんですけど、ウチの学年だけは、吉本新喜劇のコントをそのままやったんです。とにかく、人を笑わせることがやりたかった。

そうしたら、体育館にいた上級生や先生や保護者が、みんな笑ってくれはって……。人のギャグやし、人の物真似なんだけれど、ウケたことが、すごく気持ちよかったんです。どういう気持ちよさなのか説明できないくらいの快感がありました。……例えるなら、嬉しい、楽しい、最高。そういう気持ちが体に満ち溢れていくような」

――わずか7歳にして、夢は決まった。…………と思いきや、それは彼女の拡大する妄想の一つに過ぎなかった。幼稚園の頃は、「モーニング娘に入りたい!」という熱に浮かされ、オーディションを受けることを妄想し、一人脳内シミュレーションを繰り返していた時期もある。

何かに“なり切る”ことが、とにかく好きだったんです。テレビの、『世界まる見え!テレビ特捜部』の『九死に一生を得た少年』みたいな再現VTRを見たときは、台所のテーブルの下に潜って、一人で、その少年の台詞をブツブツ真似してみたり。陰気ですね(笑)。人と一緒にいるときは陽気なんですが、一人遊びも大好きでした。だから、退屈って感じたことがないんです。

暇な時間ができると、好きな人と結婚するときの絵を描いてみたりとか、子供の頃は高校生になれば芸人になれると勘違いしていたので、教室に入ったら、クラスのみんなからサインをせがまれる場面を想像して、それを絵に描いてみたり。『こうなりたいな』『ほな絵に描いてみよう』『この人素敵やな』『真似してみよう』とか。子どもの頃は、イメージトレーニングばっかりしてました(笑)」