ラグビーW杯、元日本代表が語る「海外出身選手が教えてくれたこと」

だから日本ラグビーは発展してきた
山川 徹 プロフィール

なぜ代表チームは多国籍なのか

大西がはじめて海外出身選手とチームメイトとなったのは、同志社大学時代に招集されたジュニア世代の日本代表合宿でのことだった。言葉どうしようかな。どんな性格なんやろ……。海外出身選手に対する小さな不安と戸惑いは、グラウンドに入ったとたんに跡形もなく消える。

「言葉や文化が違っても、みんな同じようにパスをして、タックルする。なにか1つのきっかけで会話がはじまって、一気に距離がなくなった。彼らはミーティングでも、積極的に発言して、自分の考えや思いをつたえようとしてくれました」

当時は引っ込み思案な日本人選手が多く、コーチの意見に従いはするが、自己主張をあまりしなかった。そんな環境でプレーしてきた大西には、日本人とは違う海外出身選手たちの価値観や考え方が、刺激だった。

若き日本代表選手たちにとって、スクラムをともに組む仲間のルーツは、なんの障害にもならなかった。

だが、いまだに桜のジャージを着た海外出身選手に対して、違和感を覚える人は少なくない。ラグビーに馴染みのない人ならなおさらだろう。

サッカーなどは外国人が代表になるにはその国の国籍を取得しなければならない。現在のラグビー日本代表はキャプテンのリーチマイケルをはじめ、8人の海外出身選手が日本国籍を取得しているが、7人は自国籍のまま桜のエンブレムを胸にする。

それにしても、なぜラグビーの代表チームは、国籍にこだわらないのだろうか。

サッカーなどの国籍主義に対して、ラグビーが掲げるのが所属協会主義である。選手のルーツだけでなく、生活する地域や国を重視する独自の考え方は、ラグビーの歴史に由来する。

 

19世紀はじめ、イングランドで誕生したラグビーは隣接するウェールズやスコットランドなどを経て、大英帝国の植民地に広くつたわった。パブリックスクールや大学などでラグビーを経験した人々が世界各地で働き、家庭を築き、ラグビーをプレーした。

その結果、母国だけでなく、暮らしている国や地域を代表してプレーできるルールがつくられたと言われている。

いまは〈両親、祖父母のうち1人がその国出身の者〉や〈その国に3年以上、継続して居住している者〉などが国籍と異なる国の代表資格を取得できる(来年から3年居住は5年居住へと変更)。