大西将太郎氏(撮影:西田香織)

ラグビーW杯、元日本代表が語る「海外出身選手が教えてくれたこと」

だから日本ラグビーは発展してきた
ラグビーW杯日本大会が本日開幕。南アフリカを撃破した2015年大会を経て、大きな盛り上がりが期待されている。今回、『国境を越えたスクラム』を上梓したノンフィクションライター・山川徹氏が、元日本代表の大西将太郎氏にインタビュー。代表チームで海外出身選手とプレーした経験から見えてきたこととは――。

1つのチームになるには

ONE TEAM――。9月20日に開幕するラグビーW杯を戦う日本代表のスローガンである。意訳すれば、1つのチームに、となるだろうか。

日本代表には、過去最多となる7ヵ国15人の海外出身の選手が選ばれている。日本人選手と海外にルーツを持つ選手がいかに結束するかが、日本代表の鍵を握る。

2007年にフランスで開催された第6回W杯で日本代表の中心選手だった大西将太郎は言う。

「ぼくらのチームの理念は『武士道』でした。ヘッドコーチだったニュージーランド人のジョン・カーワンが、日本人に馴染み深い武士道精神が、ラグビーの憲章につながると考えたんです」

ラグビー憲章とは、ラグビーが持つ大切な価値を守るために定められた5つの基本原則である。大西は次のように説明する。

「ラグビー憲章は、品位、情熱、結束、規律、尊重の5つからなります。ラグビーという激しいコンタクトスポーツのなかで、品位を持ち、規律を守らなければ、殴り合いになってしまう。ルーツや宗教をこえた仲間と結束し、相手やチームメイトを尊重して、情熱を持ちプレーする。このラグビー憲章と武士道を結びつけ、チームの柱にしたんです」

 

大西が出場した第6回W杯には、ニュージーランド、トンガ、韓国の3ヵ国8人の海外出身選手が日本代表としてプレーした。

「多様性があるからこそ、日本らしいぶれない芯をみんなで共有する必要がありました。いまならチームの結束のためにキャプテンのリーチマイケルが日本について勉強し、日本を知ろうとしている。彼は、ぼくよりも日本について知っているのではないかと思うほどです」

ニュージーランド出身のリーチマイケルが、海外出身選手のためにチームで国歌を練習する場を設け、「君が代」を深く理解するために宮崎県の神社に足を運んで歌詞のなかの「さざれ石」を見学した話は広く知られている。

「リーチにとっては、キャプテンとなって2度目のW杯です。彼は経験から1つのチームになるには何が必要か分かっている。多様な価値観を持つ選手が集まるいまの日本代表にとって、彼の存在が、何よりも大きい」