翌朝は、車のまま世界自然遺産地域に入ることができる〈西部林道〉へ。

まん丸であどけない瞳に思わず胸がキューン。世界自然遺産の原生 林が広がる〈西部林道〉で出会ったのは、ヤクシカの子供。ヤクシカは屋久島固有の小型種だ。
島のあちらこちらで遭遇したヤクシマザル。

照葉樹林の原生林を走っていたら、野生のヤクシマザルやヤクシカがゆるっと歩み出てきてびっくり。赤ちゃん連れの母猿も、まん丸な瞳の子鹿も、君たち警戒心は無いの?というくらい近くまで寄ってくる。

「かわいいなあ。日本昔ばなしの世界みたい。環境がいいからかな、野生なのに毛並みがとてもきれい」

パパイヤやコウモリラン、ハイビスカスなど、果物と山野草、苔玉を扱う〈屋久島草思園〉。無人市には自生種のリュウキュウエビネ500円やオオタニワタリの鉢200円も。/屋久島草思園 鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2733-65 ☎090-2514-2909

さらに車を走らせると、「ガジュマル1鉢500円」「シダ1鉢100円」の貼り紙が並ぶ〈屋久島草思園〉の無人市や、自家栽培の野菜を売るファーム小屋など、気になるスポットが次々と目に飛び込んでくる。

「これ、ツバキの実ですね」

みっちり中身が詰まってそうなツバキの実。驚くほど大きいが、黒田さんの関心はツバキに着生したモシャモシャの葉に集中。「枝先に珍しい植物が着生している……」。

せっかくだから野菜でも買って帰ろうか……と車を停めた農園の近くで、小さな柿ほどの実をつけた木を見つけた黒田さん。よく見ればまるまる太った黄緑色の実がなっている。

「こんなに大きいのは珍しい。これくらいだとオイル、いわゆる椿油が採れるはず。搾りカスも土に混ぜて 肥料になるんじゃなかったかな」しかも、枝の先端には明らかにツバキとは違う葉っぱが絡まっている。「ツバキに別の植物が着生しているのでしょうか」

着生とは、植物が土に根を張らず、 他の木や岩盤などにくっついて生活している状態のこと。

「そういえば国道沿いにも、何かの植物が3~4種類着生して、パイナップルみたいな姿になっているヤシの木がありましたよね。ヤクスギランドでも杉やツガに蔓が着生して、 緑のネットワークのようになっていた。そのどれもが、乗っ取る/乗っ取られるの関係ではなく、いい具合に共生していて、なんというか、植物本来の逞しさと美しさを感じます」

自営農園でつくった果物や野菜の他、手づくりおやつも販売する〈鬼塚農園 手づくり農産加工所〉。朝は5~6時から営業。不定休。/鬼塚農園 手づくり農産加工所 鹿児島県熊毛郡屋久島町平内265-14 ☎0997-47-2562