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プロ野球高卒ドラ1、期待の「村上・清宮世代」の5年後

いまはヤクルト・村上が断トツだが…
いまや「清宮世代」ではなく、「村上世代」と呼ぶべきか。こうして、いい意味で予想を裏切る伏兵がいれば、長らく二軍でもがき苦しむドラフト1位もいる。やっぱり、人の成長は思い通りにいかないものだ。

高卒野手が豊作だけど

今年のセ・リーグ新人王はもう、決まりだろう。ヤクルトの2年目、村上宗隆(19歳)の快進撃が止まらない。

32本塁打(9月5日現在、成績は以下同)を放ち、あの清原和博(元西武)が長らく保持していた高卒2年目までの本塁打記録('86年・31本)を33年ぶりに塗り替えた。

自身も高卒ドラフト1位で新人王('88年)を獲得した元中日・立浪和義氏が、村上の新人離れした打撃センスを解説する。

 

「飛ばす力はもともと桁外れの選手でしたが、今季は技術の改善で大きく進化しましたね。一言で言うと、打席で前に来る右足と、バットを持つ両手の距離をしっかりとれるようになった。たとえば、弓はしっかり引けば引くほど矢を遠くに飛ばせます。それと同じで、インパクトの瞬間までの長さが長いほど打球の飛距離が伸びる。

シンプルな原理なのですが、タイミングの問題もあって、これを体得できない選手はたくさんいます。しかし、村上選手は実戦を経験するなかで日増しにアジャストしていき、距離を確保していった。適応力の高さに目を見張りました」

村上が入団した'18年から2年間は、高校生野手が豊作だった。

同期では清宮幸太郎(日ハム)、中村奨成(広島)、安田尚憲(ロッテ)の3人が1位指名を受けて入団し、続く昨年も藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)、小園海斗(広島)の3人が1位指名されている。

基本的に、1位では即戦力投手を指名するのがドラフトの「定石」であり、わずか2年の間に競合を含めてこれほど多くの高校生野手が1位指名を受けたのは極めて異例だ。

かつてロッテでスカウトや打撃コーチを歴任した得津高宏氏が言う。

「昔から『投手は何人とっても足りることはない』というくらいで、大学や社会人で実績を残したピッチャーは球速があれば、一軍ですぐに投げさせる計算も立てやすい。吉田輝星(日ハム)のように甲子園で活躍した高卒投手も1年目から活躍できる可能性があります。

吉田輝星選手

一方で、野手はセンスはあってもプロのスピードに対応できる身体作りや技術の習得が簡単ではなく、一軍でやるまでには時間がかかる。線の細い高卒はなおさらです。

そう考えると、その年屈指の好投手を取れる可能性が高い1位や2位の枠を棒に振ってまで取りたい高卒野手というのはなかなか出てこない。技術とプロでやれるだけの体格をすでに備えた高校生野手が頻出するようになった近年は、むしろ特殊といえます。いわば、彼らは究極の『野球エリート』なのです」