# 離婚

離婚した年収900万円の会社員が「連れ子」とまで関係解消したワケ

元妻からの連絡がきっかけ
露木 幸彦 プロフィール

元妻が恐れていたこと

というのも、万が一、宏さんがいま亡くなったことを考えると、法定相続人は宏さんが再婚した現妻、養子、実子の3人になります。その際、宏さんがいまだ6割を保有している自宅の持ち分を現妻に相続させることは可能。そうなれば、元妻や子どもたちは家に住み続けられなくなるのではないか――じつは、元妻がそう心配していたのです。

「主人の家だから出て行って!」
「このまま住むのなら家賃を払ってください!」……。

元妻からすれば、現妻がそう迫ってきたらどうしようと気が気でない。もし宏さんが他にめぼしい財産を持っていない場合、自宅持ち分を3人で分け合うことになるので、元妻のこうした心配が現実化する可能性は高いのでなおさらというわけです。

 

実際、宏さんはそれほど多くの財産を保有していたわけではありません。

「ローンを返しながら、今の嫁を食わせて、僕の病院にも通っていたものですから、家計はかなり厳しいですよ」

宏さんはほとんど生活に余裕はなく、定年になれば1200万円の退職金は見込めるようですが、離婚から現在までお金を貯められなかったそう。一方で自宅の評価額は約2000万円なので、宏さんの持ち分は1,200万円になります。主だった財産はその退職金と自宅の持ち分、ということになるわけです。

そうしたことに気づいたのでしょう。元妻は離婚から10数年経って突然、宏さんに電話をしてきて、冒頭のように「不満」をぶちまけてきたわけです。

ところで法律で定められた相続分を法定相続分といいますが、遺言を残さなかった場合、法定相続分の割合で遺産を相続します。今回の場合、法定相続分は現妻(2分の1)、連れ子(4分の1)、実子(4分の1)になります。

そのため、じつは遺言がなくても子どもたちは問題なく自宅の権利を相続できますが、元妻は宏さんの財産の全容を知りませんし、宏さんは知られたくと思っていました。

なぜなら、元妻が退職金の金額を知れば、退職金も子どもに残せと言い出す可能性ががあるからです。このように考えると宏さんは他の財産を知られないよう、そして万が一の場合現妻が「争続」の矢面に立たないよう、遺言を作成するしかないと決意をしたのです。