ビジネスと人生を豊かにする鍵は「感動」にあった!

幸福経営のトレンド
前野 隆司 プロフィール

幸せの因子たち

以上のような幸福学の整理のもとで、満喫、感動、共感、フローを見てみましょう。

まず、これらは、いずれも、人生のような長い時間間隔ではなく、数分から数時間レベルのことがらですので、短期的な幸せに関係すると言えそうです。

それぞれについて考えてみましょう。

まず、満喫。フレッド・ブライアントらの研究によると、日常生活において平凡な経験も満喫するように心がけていると満足度が高まることが知られています。

次に、本書の主題である感動。物事を満喫する人は、感動もしやすそうですよね。よって、幸せな人は感動の多い人だと言えそうです。

また、共感と感動も関係していそうです。

フローとは、時を忘れるほど没頭してパフォーマンスを発揮する状態だと最初に述べましたが、この体験も感動に関係していそうです。

要するに、まとめると、満喫、感動、共感、フローはいずれも関連し合っていて、しかも、いずれも幸せと関係が深いと考えられます。しかも、短期的幸福と長期的幸福にも相関関係がありますので、要するに、感動は幸せに影響すると考えられます。

感動を引き出すサービスをつくる!

「人を感動させる製品・サービス」というと、もしかしたら、「なんとか人をだまして感動させて製品やサービスを売りつけるこそくな活動」というニュアンスを感じる方もおられるかもしれませんが、そうではなく、「感動を通して人を幸せにする製品・サービス」だと思うのです。「幸せになれますよ」と人をだます商売もあるでしょうから、幸せにつながっていればいいというものではありませんね。偽物と本物の違いには注意が必要です。

 

「従業員みんなが幸せな企業」と、東京大学の本田由紀先生がおっしゃる「やりがい搾取」が、一見、紙一重なのと似ています。やりがい搾取とは、進んで仕事にのめり込み、充実感や自己実現を得ているように見える若年労働者に対し、実際は、経営者側がしかけた、より少ない対価(雇用の安定性、賃金)で最大の労働効率を引き出すための巧妙なからくりのことです。

違いは、従業員を幸せにする経営者として有名なネッツトヨタ南国株式会社の横田英毅取締役相談役の言葉をお借りすれば明確です。

「従業員を幸せにすることを第一に考えて、そのために儲けるのがホワイト企業。儲けるために従業員を幸せにする企業は、ブラック企業よりはましだが、間違った企業」

善と偽善の違いですね。見た目は似ているかもしれませんが、横田さんによれば、人を見れば、見分けられるとのこと。

ぜひ、製品・サービスに携わる方には、本当に感動を引き出す製品・サービスを作るために、本書を読んでいただければと思います。儲けるために感動させる方法を学ぶのではなく(笑)。