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死ぬ直前…「最後の日」どう過ごす?遺言の書き方、遺品処分の仕方

自分らしく消えるために

感謝したい人、お詫びしたい人はいませんか

人生を後悔で終わらせないために

いざ人生が残り1週間で閉じるとわかったとき、あなた自身はどうするだろうか。モノをどう処分するか、おカネを誰に遺すか――。

しかし、まず頭に浮かぶのは「あの人に会いたかった」「どうしても一言伝えたかった」といった人間関係の心残りではないだろうか。

神奈川県在住の早川智子さん(84歳・仮名)の夫・竹一さん(享年85・仮名)は、2年前に他界した。背中の強烈な痛みを訴えて病院に運ばれたところ、末期のすい臓がんと診断された。

腹膜内に病巣がばら撒かれたように転移しており、医師からは「1週間以内に亡くなってもおかしくない」と告げられた。

「告知された日から3日経って、病院で主人から封筒を渡されたんです。『家に帰ってから開封してくれ』と言われました。開けてみると、手紙にはお葬式に呼んでほしい仕事関係の人たちの名前や連絡先がまとめて書いてあったんです」

竹一さんは義父から継いだポリエチレン関係の工場を50年以上経営してきた。オイルショックの際の倒産の危機も乗り越え、仕事一筋で生きてきた。智子さんが続ける。

「手紙を読んで『こんな時まであの人らしいな』と思っていたら、最後のほうの一文に目が留まりました。『今まで家庭のことを任せきりにしてすまなかったと思ってる』と書いてあったんです。

工場は元は私の実家ですし、仕事ばかりの生活でも、主人を恨んだことはありませんでした。それでも、ずっと主人は私のことを心に留めていてくれたんだとわかり、救われた思いがしました」

 

日本看取り士会会長の柴田久美子氏はこう語る。

「お世話になった人に気持ちを伝えられるのと伝えられないのでは、まったく本人の心の有り様が違います。東京在住で、がんを告知された60代の女性がいらっしゃいました。

以前、大変お世話になったという方が大阪に住んでいて、本当は会いに行きたかったようでした。しかし、距離も遠く、難しかった。

そこで、こちらから『お手紙を書かれたらどうですか』と提案しました。手紙を送ったことで、自分の真心を伝えられたと思ったのでしょう。その女性はとても安心した様子でした。自分が弱った姿を見られたくないという方もいらっしゃるので、お手紙はとてもいい手段だと思います」

残り1週間、会える人はもちろん、手紙を送れる相手にも限りがある。知人や友人の顔を思い浮かべながら、「お礼が言いたい」「謝りたい」など何かを伝えたい人、葬儀には来てほしい人、葬儀の後に喪中ハガキで伝える人など、分けてみることだ。その過程が、あなたの心の整理に繋がる。

言葉で何かを伝えること以外にも方法はある。税理士の佐久間裕幸氏が言う。

「余命を宣告されたことで、ある意味、自分の資産を思いっきり使うことができるようになるわけです。お世話になった人に遺贈(財産を相続人以外に贈ること)する、社会に貢献するために寄付をするというのも選択肢のひとつでしょう」

天涯孤独の自分の介護をしてくれた友人に、自分を育ててくれた母校への恩返しになど、対象は人それぞれだろう。金額の多寡は問題ではないし、メッセージを添えなくてもいい。

その行為だけで、気持ちは伝わり、「誰かのために何かをした」という事実であなた自身が救われることもある。

悔いを残したままにならないために、やれることはある。