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親の人生「最後の1週間」の過ごし方…送るあなたがすべきこと

短い期間にできることのすべて

人生の大団円をきれいに迎え、後顧の憂いなく、後の世代にバトンをつなぐ。それが、最後の日までの1週間の理想である。「送られる人」「送る人」の双方が、この短い期間に何ができるか、すべてを明かそう。

「最後のわがまま」叶えてあげるべき?

「終末期に入り、1週間のように余命が限られてくると、本人だけでなく、送り出す家族も、緊張を強いられる日々となります。別れへの寂しさも先に立ち、うろたえてしまう方もいる。しかし、この時期の過ごし方がもっとも重要なのです」

こう語るのは、本誌でもおなじみの死後手続きの専門家のひとり、税理士の佐久間裕幸氏だ。準備せずに最後の日が来てしまっては、遅いのである。佐久間氏が続ける。

「本人にとっては、自分の意思や気持ち、遺産を家族に引き継ぐ最後のチャンスですから、人生の集大成。家族の側は、そのバトンを受け取り、今後に活かしていく引き継ぎ期間。本人と家族が、一緒に事を進めていくことは、どちらにとっても意味のあるものです」

第1部では、まず老親を送る側の家族が、最後の1週間で出来ること、しなければならないことを見ていこう。

日本看取り士会会長の柴田久美子氏は、「本人の意思を尊重することが、家族にとっても悔いを残さないことにつながります。『わがままだ』と思えても、やりたいことを最大限叶えてあげるべきです」と言う。

自由に食べたいものを食べ、飲みたいものを飲めばいい。だが、終末期となると体力との戦いになる。嚥下機能も低下しているかもしれない。

「末期がん患者の方のなかで、『目の前にたくさんの食べ物があるのに、自分は食べられなくて悔しい』と仰る方がいました。飲み込むのは難しいので、口に入れて噛ませ、吐きだしていただくことにした。

ご本人は非常に満足されていました。工夫次第で、ご本人の希望を叶えることはできるのです」(柴田氏)

お酒が好きな人は、お猪口に少量だけの好きな酒を注ぎ、飲んでもらう。

ただし、終末期である以上、命に直結するリスクと隣り合わせだ。日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武氏は言う。

「誤嚥によって窒息事故を起こしたり、肺炎を起こす、あるいは食べたことで熱が出てしまうこともある。しかし、本人と家族の意思をはっきりと医師や看護師に伝えてもらえれば、幸せな最期に持って行けるはずです」

 

リスクは承知のうえで、どうしたいか。本人の希望を聞いておきたい。

体力が弱っていても「亡くなる1週間くらい前になると、人間には『ラストラリー』といわれる最後の頑張りの瞬間が起こることがある」と語るのは医師の志賀貢氏だ。

「今まで食事もとれなかったような人でも、『アイスクリームが食べたい』『寿司が食べたい』と食欲が突然湧くことがあります。原始的本能の食欲が蘇るのです」

食欲だけではない。「ラストラリー」は人間の本能である集団欲も呼び覚ますという。最後に会っておきたい人、行っておきたい場所について、さまざまに「わがまま」が出てくるのは自然なことだ。

「もっとも多いのは(病院から)『自宅に帰りたい』という要望です。ちょっとお連れするだけでも、『家を見たから満足』だと病院に戻られる方もいる。医師が反対したとしても、本人の要望を叶えてあげるべきでしょう」(前出・柴田氏)

思い出の場所にも連れて行ってあげるべきだし、会わせたい人にも会わせてあげるべきだろう。

「100歳を越える方が、死の間際、20年も会っていなかったご長男に会われることを所望し、探し出して面会が叶った例もありました。お互い、たいへん満足された様子でした」(柴田氏)

無理は禁物だが、本人の希望がすべてだ。