誰もが「話を聞いてもらえない」ストレスを抱えている

聞いてもらう環境をつくるには

【話を聞く男たちが考える、傾聴と対話のレッスン  #1】

世の中には会話スキルやアピール力を磨く方法論があふれている。それらは「話をする技術」とも言えるが、それに比べ、「話を聞く」ということについて書かれた文章は少ない。

話を聞くことはコミュニケーションの基盤となる行為だが、シンプルなことのようでいて実は難しく、またその定義も曖昧で、お互いの認識の違いがいたるところですれ違いを引き起こしている。

“恋バナ収集ユニット”桃山商事としてこれまで数多くの恋愛相談に耳を傾けてきた清田隆之&森田雄飛と、精神科医として心の治療やカウンセリングの現場に携わる星野概念が、自分たちの経験も参照しながら「話を聞く」という行為について考えていく。

左から、桃山商事の清田隆之さんと森田雄飛さん、精神科医の星野概念さん
桃山商事(ももやましょうじ)
清田隆之(代表)、森田雄飛(専務)、ワッコ(係長)の3人からなる恋バナ収集ユニット。2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1200人以上の悩み相談に耳を傾け、それをコラムやラジオで紹介している。著書に『生き抜くための恋愛相談』『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』などがある。


星野概念(ほしの がいねん)
病院勤務の精神科医。執筆や音楽活動も行う。雑誌やWebでの連載のほか、寄稿も多数。音楽活動はさまざま。著書に、いとうせいこう氏との共著 『ラブという薬』がある。

構成:小沼理 写真:飯岡拓也

 

みんな、話を聞いてもらえていない

清田:桃山商事ではこれまで、1200人以上の恋愛の悩みに耳を傾けてきました。我々はこれを「失恋ホスト」と呼んでいるのですが、その活動を通じ、人の話を聞くことの重要性を実感してきました。そして昨年は、星野さんと一緒に「話を聞く男たちが考える、傾聴と対話のレッスン」というイベントも開催させていただきました。

我々のところに相談しに来る人の中には、話しながら泣いてしまう人がけっこういるんですね。つらい経験を思い出して泣いている部分もあると思いますが、どちらかと言うと、とめどなく身の上話をしているうちに感極まって涙が出ているという感じに近い。

そんな相談者さんの姿を見ながら思ったのは、もしかすると多くの人たちは、自分自身の話を誰かに思い切りしゃべった経験があまりないのかもしれない、ということです。僕はこの問題を著書『よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門』でも取り上げたのですが、話を聞いてもらえないことにモヤモヤを抱える女性たちの話には、例えばこのようなものがありました。

・上司に相談をしたら、途中からなぜか説教や自慢話をされた

・男友達はすぐに茶化してくるので、まともな会話ができない

・会社の後輩は、返事はいいが内容をちゃんと理解していない

・夫に仕事の愚痴を話すといきなり解決策を提案してくる

・考えがまとまらない話を彼氏にしたら面倒くさがられた

森田:清田が挙げたのはすべて女性が話す側、男性が聞く側の事例でしたが、桃山商事の女性メンバー・ワッコは、「女友達に恋愛相談をすると、すぐに『そんな男とは別れなよ』と上から目線で言われてしまう」と話していました。

清田:確かに。相手の性別はさておき、「話を聞いてもらえない」という感覚を抱いている女性は少なくないような気がします。