〔PHOTO〕立木義浩
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ウイスキーを飲みながら、野口英世の偉業に思いを馳せる

タリスカー・ゴールデンアワー27回(前編)

提供:MHD

今回のゲスト西村眞さんは、雑誌「ビッグトモロー」の創刊編集長をはじめ、フランスの「PLAYBOY」誌ともいうべき「LUI」誌の編集長、その他9誌の月刊誌の編集長を歴任した“怪物編集長”である。わたしより3歳年上の西村さんとは、なぜか気が合い、むかしからわたしを可愛がってくれている。

もう5,6年前の話になるが、わたしをモデルにNHKが制作した再現ドラマ『全身編集長』を観てくれた西村さんは、「『全身編集長』を観ていたら、無性にシマジさんとロマネ・コンティを飲みたくなった。『アピシウス』で飲みましょう」と、太っ腹でわたしを誘ってくれた。わたしがその誘いに甘えたのは言うまでもない。そのときのヴィンテージはたしか1983年だったと思う。

西村さんは最近、伊勢丹サロン・ド・シマジのバーにも顔を出してくれた。わたしがすべてのお客さまに自信を持って勧めているタリスカースパイシーハイボールをワンパイントグラスで美味しそうに飲んでくれた。

そんな西村眞さんとわたしは軌を一にして同じような内容の書籍を出版した。わたしの『そして怪物たちは旅立った』(CCCメディアハウス)は雑誌「Pen」で100回連載したものを一冊に纏めたものである。西村さんの『日本人、最期のことば』(飛鳥新社)は、いまでも「月刊Hanada」で続いている人気連載を纏めた一冊である。

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

* * *

ボブ: シマジさん、いつものスコットランド式の乾杯の音頭を取ってください。

シマジ: それではみなさんご一緒に、スランジ!

一同: スランジバー!

西村: これがシマジさんのバーでも定番になっている、タリスカースパイシーハイボールですか。わたしは普段、ワインを飲むことが多いのですが、こうしてソーダで割ると度数も下がって飲みやすいですし、改めて飲むと、ウイスキーの香りというのは、奥深くていいものですね。そしてこのピートの香りを纏った黒胡椒がいいアクセントになっています。

シマジ: そうでしょう。わたしはこのスパイシーハイボールのセットを、いきつけのレストランにも常備していまして、食前・食中・食後とあらゆるシチュエーションで愉しんでいます。

ボブ: 今日はどうもぼくの出番は少ないような気がします。是非、お二人でじっくりたっぷり話し合ってください。

西村: シマジさんの「Pen」の連載は、毎回、400字詰め原稿用紙に換算して何枚書かれたんですか。

シマジ: わたしのは、400字詰めで4枚半です。1800字目安で書いていました。西村さんの「月刊Hanada」の『日本人、最期のことば』は6ページもありますが、毎回何枚ぐらい書いているんですか。

西村: ぼくのは400字詰めで30枚くらいかな。

シマジ: わたしの7倍ぐらいの分量なんですね。だからあんなに資料をいっぱい読み込んでお書きになっているんですね。しかも出典を丁寧に出しているのが清々しいですよ。

西村: ぼくがずっと疑問に思っていたのは、歴史ものの作家たちが、まさか何百年も生きているわけではないのに知ったかぶりして、出典もあかさずに好き勝手なことを書いていますが、あれはやっぱりフェアじゃないなと。あの態度が嫌で、ぼくは努めて出典を明らかにしようと思っているんです。シマジさんの場合は、1ページもののコラムですし、いちいち出典を明らかにしたら出典だらけになってしまいますから、あの書き方でいいと思いますよ。

シマジ: まあ、わたしの場合は、葬儀で弔辞を読むようなつもりで書いてくれという編集者の要望がはじめからありましたからね。毎回、その人物のなかに潜む怪物性を抉り出すのが主な仕事であって、改めて資料を丁寧に調べなくても書けました。

西村: あれはまさにシマジ節炸裂の読み物ですよ。

ヒノ: ぼくは「Pen」も「月刊Hanada」も読んでいたんですが、お二人が同じ人物を取り上げていましたね。例えば野口英世などは両方読み比べてみるととても面白かったです。

シマジさんは、野口英世が借金王のくせに、すました顔をして千円札のなかに収まっているという描写をしていて、あれには笑いましたね。

一方、西村さんの書いた野口英世は、もともとの名は「清作」でしたが、坪内逍遥の評判になった『当世書生気質』という小説の主人公の医学生の名前が野々口精作で、酒と女で身を持ち崩すところといい、名前があまりにも自分に酷似しているのが気になって、小学校の恩師の小林栄に相談して「英世」(ひでよ)と改名したと書いています。

シマジ: その野口英世がアフリカで客死したとき、恩師の小林栄は坪内逍遙に書状で、『当世書生気質』のモデルは野口英世なのか、と尋ねると、逍遙から見事な候文の返事がきた。続きは西村さん、お願いします。

西村: 「復 故野口博士に関する御追憶談は洵(まこと)に耳新しく、深き感輿を以て拝読致し候」とはじまり、自分の作品は明治18年出版されたもので、そのころ野口博士は9歳か10歳のことで、登場人物の氏名などはでたらめに作ったものだ、と返事を書いてよこしたんです。

シマジ: わたしが驚いたのは、あんな資料をよくみつけたものだということです。しかも、奥村鶴吉編『野口英世』と出典まで書いてあることにまた驚きました。

西村: ぼくはああいう貴重な古い資料を探すのが生き甲斐みたいなものですから。

シマジ: 毎回、登場人物の資料を探すのは、時間ももちろんかかりますが、お金もかかることでしょうね。多分原稿料以上の出費があるんのではないですか。

西村: まあ、それはぼくの自己満足の世界の話ですからご心配なく。

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