2019.09.24
# 香港 # 投資信託 # ETF

「デモ」か「中国マネー」か? 翻弄される香港のジレンマ

市場を支配する大国の「アメとムチ」
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

でも、ここであれっ? と思われたかもしれない。指数の組み込み比率上昇で買われる中国株は「中国本土に上場するA株」であって、「香港に上場するH株」ではないはずだ。なんで「A株」引き上げで「香港」取引所の売り上げが増えるのか?

そのカラクリは、2014年から始まった香港と上海、2016年から始まった香港と深センの株の相互取引、「ストック・コネクト」だ。

今ではこれによって、免許を与えられた海外機関投資家でなくとも、香港証券取引所を通して上海や深センに上場しているA株が買える。指数の変更によって発生した中国A株の買い注文は今、世界中から香港に集まっているのだ。

この上期、香港―上海取引所の1日平均取引は、昨年の倍以上に伸びて235億元(約33億ドル)、香港―深セン取引所のそれも137%ジャンプして200億元以上になった。

香港は、中国株のグローバル化の恩恵を存分に享受しているのだ。

 

中国株の本国帰還という「カード」

さて、このところの米中貿易摩擦を受けて、中国がアメリカに対してちらつかせているカードの一つが、中国株の本国回帰の可能性だ。

アリババやバイドゥを始め、米国で株式を上場して資金調達をしている中国企業は多い。米国議会資料によれば、今年2月現在159の中国企業が米国で株を上場しており、その時価総額は1.2兆ドルに上る。中でも、2014年のアリババのニューヨーク証券取引所(NYSE)の株式新規上場(IPO)は250億ドル(約2兆7000億円)と、史上最大規模だった。

Photo by Gettyimages

今回アリババが予定する香港上場も、最大200億ドルと言われる超大型案件だ。香港に上場したからと言って米国上場を取りやめるわけではないが、そのメッセージ性は十分だろう。

最近では中国最大の半導体チップメーカーSMICが米国上場を廃止しており、冷え込む米中関係の中で本土回帰を検討する中国企業が今後増える可能性もある。香港はこうしたニーズを是が非でも取り込みたいはずだ。

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