2019.09.20
# 週刊現代

日本の畜産壊滅か…!? 豚コレラ「殺処分と拡大阻止」の壮絶な現場

ついに関東まで感染拡大
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いったい、この豚コレラウイルスはどこから流入したのか。北海道大学大学院獣医学研究院の迫田義博教授が解説する。

「今回の豚コレラウイルスは、中国などアジア各国で流行している豚コレラのものと非常に似ています。しかし、豚コレラが流行している国からの生きた豚の輸入は動物検疫上、完全に止められています。

なので、海外からの旅行客などが豚コレラウイルスに感染した豚肉を違法に国内に持ち込んだ可能性が高い。それを雑食のイノシシが食べ、感染したのではないかと考えられます」

すべての始まりが、冒頭の電話で報告された岐阜市の養豚業者だった。この業者の養豚場では一昼夜をかけて全546頭の殺処分が行われた。

この業者の防疫処置が完了した時点で、県庁内には「このまま収束するのでは」と楽観視するムードが漂っていた。

ところが、わずか2ヵ月あまり後の'18年11月16日に岐阜市畜産センター公園で2例目の豚コレラが確認されると、堰を切ったように感染は広がっていった。

 

養豚業者の嘆き

6例目となった、岐阜県関市「有限会社兼松農産」。殺処分は実に8000頭という最大規模のものだった。社長の兼松真吾氏が振り返る。

「去年の12月23日に、ウチの飼育していた豚1頭がウイルスに感染していることがわかり、全頭殺処分することになりました。

100~200㎏ぐらいの豚の死体は人間二人がかりでなんとか引っ張って袋に入れることができますが、200㎏を超えるような親豚は自衛隊の人がパワーショベルを使って吊り上げ、袋に入れていました。

うちには重機があるので、殺した豚を穴へ埋める作業を私たちも手伝いました。こんな形で殺すことになって申し訳ない、悔しいと思いました」

豚コレラが発生すると、法令で72時間以内に殺処分、消毒などの防疫措置を完了しなければならないとされている。発生の報告が入ると、自治体はすぐさま対策へと動く。

岐阜県でいえば家畜防疫対策課や畜産振興課だといった部署が中心となり、獣医師会や建設業協会にも応援を要請する。

岐阜県内のある養豚業者のケースでは、豚舎のすぐ横に、建設業協会の協力を得て、幅約9m、深さ約4mの穴を掘った。豚を豚舎から穴の近くまで連れていき、そこで殺して穴に落としていく作業を行った。

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