2019.10.18
# 飲料

キリン『本麒麟』、ここへきて「若者に大ウケ」している意外な理由

当事者が明かしたその全舞台裏
長浜 淳之介 プロフィール

新ジャンルは麦芽比率が低くて軽い飲み物で、新商品を開発するにあたり、香り付けを変えてみたり、少し素材を変えたりといった手法を、各社取ってきた。そうした取り組みは、顧客を見誤っていた。

「ビールが本当に好きな人ほど、新ジャンルを選んでいるのだとすれば、ビール類という飲み物として『これならばおいしく飲める』とお客様に感じていただける、ど真ん中直球の商品を出すしかないと考えました。新ジャンルはビールに比べて、どこか手を抜いてごまかしてつくっているのではないかといったお客さまの疑念を超えなければ、十数年の失敗をまた繰り返してしまいます」(永井氏)

 

20代、30代に急拡大!

このように、並々ならぬ決意のもとに誕生した「本麒麟」は、停滞する消費者の可処分所得に対して、ビールが本当に好きな人に蓄積した不満に対して、メーカーとして真摯に応えようとしたデイリーユースの大衆商品だ。

総務省統計局の家計調査によれば、ピーク時の1997年の二人以上の勤労者世帯の可処分所得は約50万円だったが、18年には45.5万円ほどにまで下がっている。11年に約42万円まで落ち込んでからは反転しているものの停滞感は否めない。

「本麒麟」は雑味を取るため長期低温熟成の技術を使っているが、それゆえ時間もコストもかかり、生産性が下がる。大量生産の大衆商品には似つかわしくなく、これまで新ジャンルでは社内でタブーとされてきた。

しかし、長期低温熟成をすれば味がまとまっていくのはわかっていたので社内の反対を押し切り、パッケージにも明確にうたってまがい物でないことを顧客へのメッセージとしたのである。

このように飲んだ感じが、「これは本当に新ジャンルなのか。ビールではないのか」と、驚きを持って迎えられビール好きの人にリーチしてヒットした「本麒麟」であるが、今年になってからは20代、30代の消費が最も伸びている

ビール離れが顕著な世代だ。

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