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学生の平均内定数「増加」の一方、進路ルートから漏れていく若者たち

激変する日本の未来が見えない…

好転する就活、氷河期の絶望

近年、少子化で働き手が減る中で大学生の就職状況は好転している。

筆者の所属する学部では2013年以降、卒業前に4年生全員の調査を継続しているが、年々求人倍率が上がる中で、学生のエントリーシート提出数や企業の説明会参加回数が減っている。

だが学生一人当たりの平均内定取得数は増え続けている。それは内定が一つだけという学生が減り、2割程度の学生が一人で4つ以上の内定をとっているからだ(内定を辞退される企業にとっては大変な苦労だろう)。

しかし、少数だが途中で就職活動に疲れて辞めてしまい、無業で卒業する者もいる。実は内定を得た学生とそうでない学生の違いは紙一重だったりする。

だが内定が得られないと、就職が決まっている同級生に会うのも嫌になって大学からも足が遠ざかる。誰にも愚痴をこぼすこともできなければ、相談できないという悪循環に陥る。中には、友人や大学からの電話にも出なくなり、音信不通になる者もいる。

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それに比べると求人自体が少なく、どんなに活動しても内定が得られなかった就職氷河期の学生たちはどんな絶望状態にいたのだろうか。若者への就労支援も相談機関もなく、自己責任だと突き放され、心が壊れた学生も大勢いただろう。

筆者は就職氷河期だった90年代半ばから2000年代初めまで、丸の内の会社で働いていた。就職解禁時期になると学生たちが各会社の前に長い列を作って並んでいたことを思い出す。

 

だが、その頃は学生たちがどれほどの苦境の中にいるのか、筆者も含め世の中の大人の多くが気づいていなかった。あの長い列に並んでいた学生の多くは就職先が決まらず、アルバイトや無業のまま卒業し、社会を漂流することになったのだろう。

筆者が横浜市役所で働いていた2000年代半ばには、子育て支援施設のスタッフが「最近、赤ちゃんを連れてくる若いお母さんやお父さんに、仕事が非正規で経済的に苦しいという人が目立つ」と言い出したのもその頃であった。氷河期世代の若者が親になりだした時期だったのだ。