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ゼロから分かる「日本の格差社会」その元凶と絶望的な「未来予想図」

抜け出せない袋小路に陥っている

平成史を総括

行動する政治学者の山口二郎氏と金融実務に通暁したエコノミストの水野和夫氏による『資本主義と民主主義の終焉』は、平成史を総括する優れた対談本だ。

山口氏は、田中角栄元首相の系統の自民党経世会が20世紀型の利益誘導政治のひな形を作っていたことについてこう説明する。

二〇世紀型利益誘導政治は、経世会の政治家ががんばって、大蔵省や建設省(現・国土交通省)や農林水産省の官僚を動かし、地元にカネを引っ張ってきては、道路や橋などの公共工事を行なうというものです。

経世会は故・竹下登首相を中心に結成された

それらは成果物として、地域の人たちの目に見えるモニュメントになっていく。そのいっぽうで、無駄な公共事業を抱え、財政赤字は膨らんでいきました。

二一世紀に入ると、小泉は旧来の自民党の象徴であり、本丸でもあった経世会を攻撃することで、このシステムを解体していきます。そして、新たな利益誘導型政治が始まるのです

小泉純一郎政権によって行われた改革は、利益誘導政治の根絶ではなかった。規制緩和というスローガンで、裨益する人々を変えた新たな利益誘導政治だったのだ。

 

〈二一世紀型利益誘導政治は、政府が経済にかかわらずに純粋な市場経済を作るのではなく、ルールを変えることによって特定の人たちがもっと儲かるようにしていくシステムです。

その典型例が、雇用です。労働基準法、職業安定法などの雇用に関する規制を緩和する(ルールを変更する)ことで、雇用の流動性が生まれましたが、不安定な非正規雇用が増え、経営者など強い者がますます儲かるようになっていくのです。

二一世紀型利益誘導政治は、二〇世紀型とは異なり、カネの流れはあまり目に見えません。ルールを変えるのですから、明らかに不公平ですが、政治的な力を使って特定の集団にカネをあげるわけではありません。

市場におけるモノやサービスの取引を通して、特定のところに利益がより多く流れるしくみを作るのです。これが、新自由主義的な構造改革のひとつのポイントです〉