料理家の山脇りこさんがごきげんに50代を暮らすための知己をお伝えするFRaUWeb連載「ごきげんは七難隠す~50代からの養生日記」。今回のテーマは「家事」。家じゅうの家事全てを「自分がやらなくちゃいけない」と思っていた山脇さんが、あるとき「家事放棄」してわかったこととは。

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家事放棄中、その理由は?

突然ですが、今、私、家事放棄中です。結婚以来、2度目の、かなり本格的な、あらかじめ宣言した上での、家事放棄です(今回は3週間ほど)。というと、ケンカしたとか、もめ事? と思われそうですが、理由は明解で、仕事がとっても忙しいから。追いつめられているから。

とはいえ、こんなことができるようになったのは、最近のこと。私は、九州・長崎で男子は皿なんて絶対に下げないような、九州あるある! の家で育ちました。そのせいで、かなりジェンダーバイアスがかかっていて、家事をさぼると後ろめたい気持ちに、自分を責める気持ちになっていました。正直、今も全くないと言ったらうそになります。

でも、やっと、50歳を過ぎて、そう思わないすべを身に着けました。だってね、つらいのにやっても、きげんが悪くなるだけ。相方にしても、家事やってくれなくてもいから、ごきげんでいてほしいようです。家事かごきげんか? と言われれば、ごきげんだと。
そうだよね、それで私は今、大事な仕事に集中させてもらいます、と。

2018年4月に台湾に関する本を出版して台北でイベント。現在籠って執筆中なのも台湾本だとか 写真提供/山脇りこ

1回目の家事放棄は後ろめたかった

1回目に家事放棄したのは、50歳を前にしたころでした。当時、初めての読み物の本を作っていて、原稿書きに追われて(夏休みの宿題は最終日にするタイプ)、教室や他の仕事も重なり、にっちもさっちもいかなくなりました。時間を捻出するためには、睡眠時間を極端に減らすしかない、でも寝てないと書けませんでした。若くないし、体力的にも、無理がきかなくなっていたから。それで、後ろめたい気持ちでいっぱいになりながら、家事をやめました。できなくなった、というほうが正確かもしれません。

やってみたら、夫は、「家がちらかっても死ぬわけじゃなし」と案外平気。ルンバを(勝手に)購入し、洗濯やゴミ出し、皿洗いも全部やってくれました。私は自分も食べるし、料理だけは最低限やって、あとはずーっと鶴の恩返しのように、こもって書いて、3週間ほど家事放棄。この時は、クリスマスも出版社に篭っていました。

その経験は、本の完成(『明日から、料理上手』(小学館))だけでなく、私に大きな変化をもたらしました。

もしかして私は大いなる勘違いをしていたのではないか?と気がついたのです。
まず、そもそも、私が思っていたほど、家事は期待されていなかった! という衝撃的な気づきが一つ。
もうひとつは、私こそ、彼を自分と対等な暮らし手だと思っていなかったんだな、という気づき。うちは、夫とふたり家族です。相手は大人。身体は丈夫だし頭もそこそこ(笑)。私がやってあげなきゃいけないと思うことはかえって失礼だったな、と。

そもそも、彼は私の仕事のいちばんの理解者であり、応援団でもある。共働き夫婦ですし、逆もしかり。
情熱をかけて取り組んでいるなら、髪振り乱して忙しい時もあるよ、当然だよ、そんな時に、家のことができない~と嘆く必要なんてない、そんなことなんで思うの? と言うに決まっています。逆の立場だったら、私もそう思う。そもそも彼は、自分が忙しくてにっちもさっちもいかないときに、家事どうしようなんて、発想さえしないでしょうし。