死亡で議論過熱…「電子タバコ」いま何が問題なのか

「グレー=悪」として叩く風潮
美馬 達哉 プロフィール

電子タバコとは

「人はニコチンのために喫煙し、タールのために死ぬ」ということばの通り、タバコの害はニコチンそのものより、タールに含まれるニトロソアミンなどの発がん物質が主な原因と考えられている。

そこで、タバコ葉が高温で燃えることによって生じるタールを減らしたり、ゼロにしたりするために考え出されたのが電子タバコや加熱式タバコだ。

この発想は「ハーム・リダクション」とか「ハーム最小化」と呼ばれている。

本人の健康のためには禁煙するのがベストであっても、本人の嗜好やライフスタイルでもあるので無理に強制的に禁止せず、喫煙者にはなるべく害が少ないものを提案して、害(ハーム)をゼロにするのではなく減らすことにしよう、というものだ。

白か黒かを強制的に迫るのではなく、柔軟で実用的な考え方で世の中をベターにしていく思想だ。

〔PHOTO〕iStock
 

実用化された電子タバコの歴史は新しく、2003年に中国のホン・リクによって発明され、2007年頃から世界各国で販売されるようになった(なお、加熱式タバコはもう少し古く、1960年代に開発され、日本でもエアーズという銘柄で1997〜2004年に販売されていた)。

それ以来、紙巻きタバコの凋落を尻目に、米国やEU(特に英国)では毎年の倍々ゲームで市場も使用者も増大してきていた。

米国での調査で、ヴェイプしたことのある成人は3000万人を超え、未成年でも37%に使用経験あるとのことだ。

紙巻きタバコよりクリーン・ヘルシー・安価というイメージを売り物にしていた電子タバコだが、死亡事故の可能性で大きく躓いた。