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死亡で議論過熱…「電子タバコ」いま何が問題なのか

「グレー=悪」として叩く風潮

電子タバコでの死亡

電子タバコ(Eシガレット)を使用していたイリノイ州の成人男性が今年8月23日に重度の肺炎(急性呼吸窮迫症候群:ARDS)で死亡したことが公表されて以来、米国で電子タバコをめぐる議論が過熱している。

9月11日にはトランプ大統領が、味や香り付き電子タバコの禁止という方針を打ち出した(といっても、この大統領の場合、思いつきで言ってみただけか本当に実行するか、よくわからないが……)。

「味や香り付き」を禁止というのが大事なポイントで、裏から見れば「タバコ・フレーバー」電子タバコは禁止しないという意味だ。

そこを掘り下げることでタバコとニコチンをとりまく現代社会の姿が見えてくる。
「タバコ・フレーバー」のタバコというのもおかしな言い方だが、実際のところ紙巻きタバコやパイプでおなじみの「タバコ葉」と「電子タバコ」は名前が似ているだけで無関係だ。

 
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電子タバコの吸引器(ヴェイパー)とは、ニコチンや香料を加えた水にスモークを出すためのプロピレングリコールやグリセリンなどを足した溶液を入れて、小型の電熱器で蒸気にして吸い込む(ヴェイプ)仕組みの器具で、タバコ葉を入れることはない。

しかも、ややこしいことに、いま米国で問題になっている電子タバコは、日本で普及しているプルームテックやアイコスやグローとはまったくの別物である。

これらは、無煙タバコとか加熱式タバコと呼ばれるもので、タバコ葉を入れて、それを燃やすのではなく加熱して吸引する仕組みである(1)

そして、それらについては、紙巻きタバコとは異なる特別の健康被害は報告されていない(加熱用のリチウム電池が発火・爆発することはあり得るが……)。

なので、プルームテックやアイコスやグローのユーザーは、この件についてはとりあえずご安心を。

(1)日本では、ニコチン溶液は薬機法で医薬品として規制されているために、電子タバコは欧米ほどは普及していない(個人輸入は可能)。