3・11炉心融解を予言した医師が警鐘 台風に続く「噴火と地震」

それでも原発を止めない日本
一志 治夫 プロフィール

火山列島で原発は制御できない

──火山の国で暮らす上で、まずやらなければならないことはなんでしょう。

石黒:そりゃもう、まず一番は、原発を止めることです。日本のような火山だらけの国では、原発は手の打ちようがない。すべて廃炉にするしかないんです。原発は、停電に弱いですから、大きな地震がくれば必ず停電するし、非常用ディーゼル発電で対応したとしても、いずれ制御が難しくなって、結局、汚染事故を起こしてしまう。そんな原発をいまだ廃炉にできないというのが不思議でならない。

理屈から言えば、もうあっという間につぶしてもよさそうな代物なんですけどね。そもそも原発が温暖化に役立つ、CO2を減らすなんて言っているのもウソですから。精錬のためにはものすごいエネルギーが必要だし、海水温も上げてますしね。

福島第一原発の原子炉1と原子炉2の様子(2019年1月31日/gettyimages)

──2004年に書かれた『震災列島』では、浜岡原発の所長以下が地震によって炉心溶融した原発を身体を張って守ろうとする姿が描かれています。が、結局はメルトダウンを起こし、総被ばく者数220万人という大惨事になってしまいます。その7年後に福島でまったく同じようにメルトダウンが起きてしまいました。

 

石黒:間に合わなかった、というのが正直な思いでした。相当がっくりしました…。あのとき、民主党政権だったわけですが、明らかに説明が遅かったということ、世界的に損失を与えたということで、とりあえず、東電の幹部だけは逮捕しておくべきだったと思います。非常事態宣言を出して。それをやらなかったことが政府の弱いところで、おそらく、原発は生き残ってしまうでしょう。

──『震災列島』の中では、テレビキャスターと解説委員がこんなやりとりをしています。

「そもそも東海地震が近いと分かってから何十年も経つのに、政府は何故、太陽光発電・燃料電池・風力発電などの安全な分散型発電へ切り替えを進めなかったのでしょうか? 原発へ出す年間一千億円以上の電源促進対策費を、対策地域内の個人発電の補助に使っていれば、今頃、小型原発の一基分くらいには相当していたのではないでしょうか?」

「まあ、原発は国策ですからね」
解説委員は意味ありげに笑った。

「エネルギー効率なら火力発電と燃料電池のハイブリッドの方が二倍以上高いですし、コストも、後処理まで考えるとガスタービンの方が安い。廃棄物の処理も、他の発電の方が安全で安いですからね。原発の存在理由なんてのは、利権以外、とっくになくなっていたんですよ。とは言え、国の方針ですからね。電力会社だって、内心困ってたんじゃないですか?」