香港デモ、現地各紙の「報じ方」はこんなに違う〜そこから見えること

Session-22×現代ビジネス
倉田 徹 プロフィール

荻上 記事を読むと、「皮膚が焼けて痛かった」ということも書かれています。

倉田 この青い液体の放水を受けた人は、皮膚にしみて痛かったようですね。火傷のような症状があったと書いてあります。

荻上 ただのペイント弾とかではないということでしょうか。

倉田 大学の先生の見解が書かれていますが、これは塗料の落とし方ですね。実際に撃たれた人は、最初は何とも思わなかったけども、5〜10分ぐらい経ったら催涙弾を浴びた時と同じ、皮膚にしみて痛い感じを受けた、それがひどかった、と書いてあります。

荻上 催涙弾と並行して使われていたので、催涙ガスが皮膚に沈着したのか、それとも放水の効果なのか、そのあたりまでは書かれていませんね。

倉田 細かい原因まではわかっていないですね。

 

「言葉遣い」に新聞の思想が表れる

荻上 そして4紙目が「星島日報」です。

倉田 この新聞はもともと親台湾系と呼ばれていた新聞です。香港でも、かつて冷戦時代には、台湾の中国国民党政権と大陸の共産党政権がプロパガンダ合戦をしていました。共産党寄りのプロパガンダが先ほど見た「大公報」ですね。それに対して、「台湾寄り」の一つが「星島日報」という新聞だったんです。

ところが香港返還後は、すっかり立場が変わりまして、いまこの新聞は、一番香港政府に近い新聞と言われています。従ってこの新聞も、かなりデモに対しては批判的な論調です。8月31日の「火の場面」がトップですね。

9月1日の各紙。火のシーンを使った新聞が多い〔PHOTO〕取材班

荻上 「831戦火」とあります。

倉田 はい、もともと8月31日のデモの目的は、5年前の同日に中国政府が行った、民主化を制限する決定に対する「5周年の抗議」ということでした。今回のデモによって、また別の意味で「831」が歴史に残ることになったと言えると思います。

荻上 写真は――これは「示威者」という言葉を使っていますから、「デモ参加者」という意味ですね――があちこちで暴れているという書き方になっていますね。

倉田 一応、基本的には中立的な書き方ということで「示威者」なんですけれども、その前に「激進」という言葉が使われている。つまりは、「過激なデモ参加者」ということですね。「暴徒」という言葉は使わないけれど、その一つ手前ぐらいの言葉と言えます。

荻上 「暴徒」という言葉を使う新聞もあれば、「過激派デモ」と書くところもあれば、「市民」と書くところもある。ハッキリと言葉遣いに論調が出るわけですね。

倉田 日本で報じられる紙面でどの言葉が使われているかについて、香港の人はけっこう気にするんですよね。

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