香港デモ、現地各紙の「報じ方」はこんなに違う〜そこから見えること

Session-22×現代ビジネス
倉田 徹 プロフィール

「示威者」か「暴徒」か

荻上 では、続いてはこちら。

倉田 「大公報」です。完全に中国政府が資本を持っている、いわゆる「左派系」と言われる三つの新聞の中の一つにあたります。この新聞は、「デモ隊」ではなく「暴徒」という言葉を使っています。

荻上 デモ隊は「示威者」と表現されることが多いですが、ここでは「暴徒」と表現が選ばれている。「東方日報」と同じですね。

倉田 はい。「暴徒」が街を烈火で焼き尽くしていると、そういう書き方ですね。「レストランに火炎瓶を投げ込んだ」「警察がそれを法に基づいて鎮圧している」といった書き方です。完全にこれは「警察寄り」の立場ですね。

今日の紙面はかなり「豪華版」ですね。写真をふんだんに使ってやって、とにかく昨日は、狂ったような暴動が起きたという書き方を徹底しています。

 

荻上 「暴徒」対「秩序」というような構図ですね。

倉田 こういう、立場がはっきりした新聞ですので、デモ参加者たちから一番敵視されています。

荻上 この部分は何と書いているんでしょうか?

倉田 これは水鉄砲で混乱を「制圧」したと書いてあります。

荻上 「制圧」。なるほど。昨日は抗議参加者に対して、放水が行われたのが特徴的でした。

倉田 昨日、警察が初めて放水車を使いました。放水車は青い色のついた水を放出しており、「水がかかった人はどこにいたかわかる」という脅しの機能を持つわけです。これが昨日初めて使われた。新聞は、この写真によってその威力を示そうと考えているのでしょう。

放水車についての報道を読む荻上氏(左)と倉田氏〔PHOTO〕取材班撮影

荻上 ほかにも、「暴徒」が、警察の目を狙ってレーザー照射したといった記事もあります。

倉田 はい、そういった記事もありますね。これが「大公報」の書き方です。非常に立場が明確な新聞です。

荻上 実際には警察も照明などをデモ隊に照射してもいるのですが、どこを切り取るのかで写り方がだいぶ変わりますね。続いては、少し違う立場の新聞を。

「民主派寄り」の新聞はどう報じたか

倉田 まったく逆の立場の「蘋果日報(リンゴ日報・Apple Daily)」。これは民主派よりの新聞ですね。香港の新聞の新聞は今、だいぶ中国に対する忖度が進んでいて、ここまでハッキリと「民主派寄り」の新聞はリンゴ日報だけですね。

こちらは先ほどの大公報とは逆に、警察官の機動隊が、地下鉄の車内で無差別に市民を殴ったという書き方をしています。決して「暴徒」という言葉を使わずに「市民」という言葉を使っていますね。

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