香港デモ、現地各紙の「報じ方」はこんなに違う〜そこから見えること

Session-22×現代ビジネス
倉田 徹 プロフィール

抑えられた「デモ批判」

荻上 紙面右下は昨日の太子駅で起きた衝突に触れています。これは昨夜の香港でのテレビ報道でも大きく取り上げられ、SNSでも話題になっていました。地下鉄に乗っていた抗議参加者に対し、警官複数人が襲いかかり、催涙スプレー噴射と警棒殴打を繰り返した事案です。「東方日報」ではどうでしょうか。どちらかというと、「デモ隊が暴れたので鎮圧された」という構図で報じられているのでしょうか。

倉田 これは逆の図式で報じていますね。デモ隊に対して、そうではない(デモ隊ではない)人たちが襲いかかって来たという書き方をしています。立場から言うと、デモ隊そのものを正面から批判してるという感じではない。

荻上 ここはさすがにデモ批判は抑えたわけですか。

武装警察による「暴行」が行われた〔PHOTO〕Gettyimages

荻上 中のページを見ますと、別角度の記事が掲載されています。

倉田 アメリカの(デモへの)関与を批判する内容ですね。

実はこの記事の面白いところは、香港の新聞同士のライバル関係が垣間見える点です。ここでジミー・ライという人物が取り上げられていますが、彼は「蘋果日報(Apple daily)」という新聞のオーナーなんです。「東方日報」は彼を敵視していますので、悪し様に書いているというわけです。

「彼はアメリカの手先なので、全香港がジミー・ライを捕まえろと怒りまくっている」という書き方をしているのですが、これは東方日報ならではの立場ですね。いわば、かなり「盛った」書き方です。

 

荻上 おととい、議員が捕まったという話にも触れられていますね。

倉田 そうです。逮捕された3人の立法会議員の写真ですね。

荻上 この点については、アメリカによる分析も紹介されています。

倉田 これは、アメリカのNew York Timesが「このデモはひょっとしたら来年まで続くのではないか」という風に報道している、ということを書いています。

続いての記事ですが、これは今日と明日のデモの呼びかけに関する内容です。今日のこの時間には空港に向かう交通を足止めするデモの動きがあるとか、明日からは授業のボイコットが始まるといったことが紹介されています。

全体としては、このように、デモ隊に対して批判的に見えるんですけれども、他方で、鄭若驊という香港政府の司法長官を激しく批判をしています。大きな事件が起きたにもかかわらず、長いあいだ縮こまっているばかりで表に出てこない、と。今頃になってデモ隊との交渉について言及するぐらいだったら辞職しろ、といった批判の言葉が書かれています。

荻上 それが東方日報の論調なんですね。他方で、少し不穏な写真も載っていますね。

倉田 武装警察が、中国・深センで演習をやっている様子です。この演習は香港のデモ隊を明らかに想定しているようで、武装警察も広東語でデモ隊に対して叫びながら行動しているということが書かれています。

関連記事