香港デモ、現地各紙の「報じ方」はこんなに違う〜そこから見えること

Session-22×現代ビジネス

8月31日、香港各地で大規模なデモが開催された。街の一角では火の手が上がり、警察がデモ隊に催涙ガスを打ち込むなど事態は混乱を極めたが、翌日、現地の新聞はこれをどう報じたのか。各紙の報道の違いからは、それぞれの新聞の「立場」、そして香港の置かれた複雑な状況とその歴史が見えてくる。立教大学の倉田徹教授が、荻上チキ氏とともに読み解いた。

【本稿は、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」で、倉田氏、荻上氏が香港デモを取材した成果の一部です】

各紙を読み比べる荻上氏(左)と倉田氏〔PHOTO〕取材班撮影

「政府寄り」の新聞に起きた変化

荻上 今日は9月1日。香港各地で大規模な抗議活動と衝突があった8月31日の翌日にあたります。昨日はもともと、100万人デモに並ぶ集会が目指されていましたが、政府が集会とデモを不許可にしたことなどもあり、主催者団体が中止を発表。それでも多くの市民が自発的に、「示威」(デモ)ではなく「行街」(街歩き)に参加しました。

その一方で、警察による初の放水、地下鉄での警官による暴行、何者かによる火炎瓶投下など、「激しくなる衝突」の模様がありました。もちろん実際の街を見れば、ほとんどの市民は声をあげて街を歩いているだけだったのですが、それだけではニュースにならない。そのため、「激しくなる衝突」のシーンが、様々なメディアに大きく取り上げられました。

ここに、昨夜のデモについて報じた香港の主要な新聞を買ってきました。一つ一つ読み比べながら、メディアについて、そして香港について語っていきたいと思います。

香港の主要4紙〔PHOTO〕取材班撮影

倉田 まず「東方日報」から。香港で発行部数一位の新聞です。どちらかというと大衆紙で、比較的高齢者が読むイメージがあると思います。政治的な立場は、どちらかというと「政府寄り」なんですけれども、このデモが始まってから少し面白い変化をしています。あまりに市民の反政府感情が高まっていますから、政府に対する露骨な支持を避けるような内容になってきているんですね。

 

荻上 今回の8月31日の出来事については何と書いてありますか?

倉田 これは「暴動」で、街が焼かれている、とあります。昨日、湾仔(ワンチャイ)であった放火のシーンの写真が使われています。やはり大衆紙ですから、表紙の絵や写真で売っているということでね。非常にインパクトのある、街が燃え上がっている写真を使っています。その上で、「デモの参加者が狂ったように火炎瓶を投げまくっている」「政府の本庁舎、あるいは警察のヘッドクオーターを火攻めにしている」と。「警察はビクトリア公園で2発威嚇射撃をした」、そういったことを書いてありますね。

8月31日のデモでは各所から火の手が上がった〔PHOTO〕Gettyimages