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『サイボウズ』は社員満足度の高い「働き方改革」をなぜ作れたのか

青野慶久社長に聞いた

企業向けのグループウェア「サイボウズ Office」や業務改善プラットフォーム「kintone」を開発、販売するサイボウズを取材した。インターネット草創期の'97年に創業、現在は「働き方改革」の具体的ビジョンを持つ企業としても注目を集めている。率いる社長は、トップ自ら育児休暇をとるなど、型にはまらない経営・発言で知られる青野慶久氏(48歳)だ。

「一丁やってみるか!」

私が起業できたのは、非効率的なことが大嫌いだったからでしょう。社会人になった後、電話がかかってくるたび、ホワイトボードにある「〇〇課長、長崎出張、木曜戻り」といった情報を伝えるのが面倒で仕方ありませんでした。

そして「こんなことのために入社したのか?」と感じ始めた頃、インターネットの技術を知って「これを使えば誰がどこで何をしているか共有できて伝言も必要ない!」と気づいたんです。それは、旧来の日本型ワークシステムが機能不全を起こしていることに気づいた瞬間でもあったと思います。

当社のグループウェアの特徴は、「伝える」手間が省けること。たとえば私がスケジュールを書きこんでおけば全社員が確認できますし、経営幹部の会議の議事録も当社は当日中に公開しています。こうして情報が流通すると自然と議論が公明正大になり、全員が全体最適をはかるようになるんです。また、現場が全体を知っているから自力で判断でき、「指示待ち」にもなりにくい。

一方、デメリットはまったくありません。現場が納得できないことを決めると、全方位から「そりゃないよ」とツッコミが入って「炎上」しますが(笑)、これこそ風通しがよい証なのだと思います。

 

愛媛の田舎で育ちました。どれくらい田舎かというと、小学生の頃、毎日3・8km……ほぼ一里ほど離れた学校に通っていたんですが、その間、信号がないんです。そんな世間離れした環境だったからか、一度も「勉強しなさい」と言われず自由に育ち、型にはまることもありませんでした。だから起業に関しても悲壮感はなく、「一丁やってみるか!」といった感覚でした。

上手く行っている人を見ると、たいてい大胆さと慎重さが絶妙なバランスで備わっています。一方私は、会社の先輩を誘って独立した4ヵ月後に運良く事業が黒字化するなど、思い切りのよさがたまたま奏功した形です。