5歳くらいまでには嘘をつくことを覚える
ある科学実験では、誰も教えなくても5歳くらいまでには自然に嘘をつくようになることが明らかになっている。
実験室に子供とケーキを残し、研究者は「私が戻ってくるまでこのケーキに手を触れなければ後であげるよ」と言い残して実験室を出ていく。
すると、おいしそうなケーキを目の前にした子供たちは、ほとんどの場合、あっという間に陥落してしまうのだが、その様子は隠しカメラでばっちりとらえられている。
実験室に戻ってきた研究者が「言いつけを守ったかい?」と尋ねると、事実とは全く逆にほとんどの子供が「うん」とこたえる。
ただし、こんな実験もある。
まだハイハイをしている幼児の前を大人が横切り、ポケットからハンカチを落とす。すると、ほぼ例外なくそれを拾って大人に渡そうとするしぐさをする。これは驚くべきことである。
1歳にもならない幼児だから、誰かに教わったわけでもないのに「他人に親切」にするのである。ちなみに、チンパンジーなどでは、このような行動はまだ確認されていない。
つまり「他人に親切にする」のは人間の本能であり、それが人間とチンパンジーを分ける最大の要素かもしれないし、人類繁栄の理由とも考えられるのだ。
前述の財布を拾ってくださった皆様方もある意味「生まれついての自然の本能に忠実に従った」といえるかもしれない。
また、仏陀の言葉に「方便」というものがある。これは嘘であっても相手を傷つけたり陥れたりするものでは無く、相手を幸せにするためにつくものである。
例えばある日、妻が美容院から帰ってきて「この髪型どう?」と聞かれたとしよう。決して「君には全く似合わないよ」などと本当のことを言ってはいけない。「一段ときれいになったね」という方便(嘘)がすべての人を幸せにするのだ。