インターネット広告で出てくる「女性のためのマンション購入セミナー」の類にせっせと通い、知識を得て物件選びに猛進するSさん。

お互いの職場に近く、元の家の1.5倍以上の広さがある海が見える新築タワーマンション1LDK40平米の一部屋を選び、1ヶ月で購入に踏み切った。そのお値段、なんと5700万円だ。

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「年収が上がったといっても、誰かと暮らすためのマンションを1人で買う年収とはいえず、この金額のタワマンを買うのはちょっと勇気がいりましたよね。

周りの独身で、投資用マンションを買っている人はちらほらいましたけど、そういう物件の相場はだいたい3000万円弱でしたから」

リノベーションした中古マンションを買うという選択肢もあったが、Sさんはそうしなかった。

「手放しやすさを考えたときには、やっぱり駅近のブランド力あるシリーズの、新築一択だなと思いました。いざというときのことを慎重に考えたからこそ、高い方に踏み切ったんです

住宅購入を通じて、たくさんの知識を身に着け、自分のお金の使い方やライフスタイルを徹底的に見つめ直したSさん。

マンションを選ぶときに一番重視したのは『手放したくなったときに確実に売る・貸すができるマンション』

このマンションを自分の「終の棲家」とするつもりはまったくありませんでした。結婚はしない、子供もどっちでもいい、と思いつつ、まだ32歳。自分の人生がどう転ぶか分からないと思っていたんですね。

好きになってしまったら相手に収入がなくても、極端な話、犯罪歴があっても結婚しかねない性格ですし、いきなり転職する可能性だってある。若いときから無茶な働き方をしてきたので体を壊すリスクも高いはず。なので、売ろうと思ったときに不良債権になるようなマンションでは困るんです。

東京23区内、駅近、新築がベストだろう、と。マンションを買おうって思わなければこんなこと考えもしなかったと思います。マンションを選びは、今の自分を見つめ直し今後どうありたいか改めて考える良い機会でした

そんなことを考えるうちに、それまで以上の「自立心」が芽生えていった。

その間不倫相手はというと……一切、住宅購入に関心を持たなかったそう。

「最後の2物件まで絞ったときに、『どっちがいい?』って聞いたんですけど、『どっちもいいんじゃない?』って。全然空返事でした。

名義は私が100パーセントで買うとはいえ、これから二人で暮らすマンションの話をしているのに……と、ちょっとがっかりしたのは事実です。不動産屋にも『パートナーと住む物件なんです』って説明してたし、一緒に住む気満々だったから」

二人で内見をして契約も終わり、あとは入居するばかりとなった休日の昼下がりに、しかし事件は起きた。