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野村HD・池田執行役員が語る「お客様の期待を超え、頂上を目指す」

新組織「未来共創カンパニー」の全容

証券会社は2つのタイプに分けられる。

1つは、店舗を持ち、対面・電話によるサポートを強みとする対面型の総合証券会社(対面証券/野村、大和、SMBC日興など)。もう1つは、安価な手数料体系とPCやスマートフォンを使う便利な取引環境を強みに持つネット専業の証券会社(SBI、楽天、マネックスなど)だ。

ただ、このような安易な分け方はもはや古いのかもしれない。

2019年4月、対面証券のガリバーである野村HDが、社内の各部門を横断する「未来共創カンパニー」を設立した。そのミッションには「デジタルを含めたイノベーションを活用」という一文がある。ネット証券群の領域と捉えられてきたオンラインサービスを強化するということである。

具体的にどのようなサービスを強化・創出し、これからの野村HDの変革に寄与させていきたいのか? 未来共創カンパニー長である、池田肇執行役員に聞いた。

取材・文/伊達直太、撮影/白井智

「野村らしくない」カンパニー

野村證券には約530万もの口座があり、顧客からの預かり資産額は110兆円を超える。当然、対面証券ではトップの規模だ。

一方、あまり知られていないが、同社にはオンライン口座の預かり資産も約35兆円あり、約460万の口座数ではネット証券トップのSBI証券と同レベルだ。

課題は、オンライン分野でのプレゼンスが弱いことである。未来共創カンパニーは、その実態を変える取り組みだ。

「重要なのは届け方」と、カンパニー長の池田肇氏は言う。

池田氏は、直近まで野村HDの広報を担当していた。それだけに、情報を届ける重要性や、伝え方によって顧客の印象が変わることなどをよく知っている。

「良い商品やサービスを作っても、その情報を的確に伝えられなければ役に立てません。また、インターネット環境が整ったことにより、これまで対面で接してきたお客様の中でも、細かな情報はスマホ経由で十分と感じている人や、気になることや聞きたいところに絞って、対面のサービスを受けたいと考える人が増えてきました。そのような変化を捉えて、当社も情報の届け方などの面で、サービスを整えていく必要性を実感しています」

 

未来共創カンパニーが目指すのは、有益な情報をPCやスマホといったデバイスを問わずオンラインで提供する仕組みを構築することだ。

「野村HDには、対面と電話によるコミュニケーションを通じて培ってきたお客様とのつながりがあります。ただし、対面のお客様で届けている情報やレポートを全てオンラインで提供できているかというと、できていないのが実態なのです」

部門を横断している点も特徴的だ。組織が生まれた当初は役員4人だけだった。そこに、個人営業、法人営業、IT、コーポレート、海外経験者、運用会社といった異なるバックボーンを持つメンバーが加わり、ベンチャーやITに詳しい外部のメンバーも加わった。現在は外部メンバーを含めて約80名の組織となっている。池田氏曰く「良い意味で、野村的ではないカンパニー」だ。

「既存の部門は、既存のお客様に対してどういうサービスを提供するか考えます。その上で、未来共創カンパニーは部門を横断し、外部の意見も積極的に取り入れます。そのため、提供できる情報も、情報提供の方法も従来より広げることができます。海外で先行していることを日本で試したり、他の業種で進んでいることを活かしたりして、スピードを上げることが必要です」

一方、HD本体でも「野村といえば対面」の概念を超える取り組みが具体化している。その一例がLINE証券の設立だ。