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消費増税より厄介?日本経済に忍び寄る「トランプリスク」の恐怖

不気味な動きが…

税率が8%から10%に上がる消費増税の実施まで、あと2週間――。駆け込みで買い物をするか、それとも財布の紐を締めるか、悩んでいる読者も多いのだろう。このところ、経済ジャーナリストの筆者が毎日のように訊ねられるのは、10月に迫った消費増税が前回の2014年4月の時のように経済の落ち込みの引き金にならないかという質問である。

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結論から言えば、まったく景気が減速しないということはないだろうが、今回の消費増税の影響は前回とは比較にならないほど軽微なものになりそうだ。恩典を受ける世代にばらつきはあるだろうが、安倍政権が準備してきた手厚い増税対策が、増税に伴う消費の落ち込みを相殺するはずである。

とはいえ、日本経済の成長率は1昨年をピークに減速を続けている。その減速を下押ししかねない不気味な動きには、警戒しなければならない。今回は、消費増税の次に待ち構える、その不気味な動きの話をしておこう。

消費増税の歩みを振り返る

今から振り返れば、2014年の消費増税の際の減速は大きかった。谷を深くする原因になったのは、増税直前に高い山を築くことになった駆け込み需要だ。内閣府によると、2014年の実質GDP(国内総生産)の成長率(季節調整済み年率)は1~3月期に前期比で3.9%に跳ねあがった後、消費増税後の4~6月期がマイナス7.3%、同7~9月期が0.4%と推移したから、我々の肌感覚でも厳しい景気後退が感じられたと考えられる。

 

では、今回はどうか。老舗の民間シンクタンク・日本経済研究センターが38人(機関)の気鋭の予測を集計して発表している「ESPフォーキャスト調査」の最新版をみると、増税直前の2019年7~9月期が1.3%にとどまり、2014年1~3月期のように山が高くならない。さらに、増税直後の2019年10~12月期はマイナス2.31%と、前回の増税直後の2014年4~6月期ほどの谷もやって来ない予想だ。2020年1~3月期はマイナス0.73%と2014年7~9月より回復が遅れると見込まれているが、瞬間的な消費増税の下押し効果は前回ほど激しくないと言えるだろう。

では、なぜ、前回ほど激しいことにならないのか。もちろん、背景のひとつとしては、56年ぶりに東京で開かれるオリンピックとパラリンピックに関連した特需がある。

もうひとつ、消費増税後の日本経済を下支えすると見込まれているのが、安倍政権が着々と準備を進めてきた消費増税対策だ。前回の反省から消費増税対策はかなり手厚い準備がなされている。

話を進める前に、消費税の歩みに触れておこう。日本に初めて消費税が導入されたのは平成元年(1989年)4月1日のこと。税率は3%からスタートした。あれから30年と半年で、税率が3.3倍に増税されることになる。これだけ増税されれば、負担感が大きいのは当たり前である。

とはいえ、少子高齢化で社会保障費用が膨らむことや、先進国最悪の財政赤字を抱えていることを考えれば、増税は避けられない。所得税や法人税のような直接税ばかりを引き上げるのもバランスを欠く話で、タックスヘイブン(租税回避地)への所得や資産の逃避に拍車をかけかねず、消費税のような間接税主体の増税されるのはやむを得ない面がある。

今回はすでに2度も延期したのだから、これ以上の延期もできないだろう。むしろ、これほど経済の先行きが不透明になる前に、さっさと実施しておくべきだったとか、衝撃を和らげるために毎年1%ずつ小幅の増税を繰り返しておくべきだったという議論もあり得たはずである。

それでも、今後の財政支出の膨張を賄うには、税収が不足する。今回の増税ではまったく賄いきれないので、これからも折に触れて、増税の議論は出て来るはずだ。ただ、今回の税率10%乗せで消費増税は痛税感が強まっているいるので、今後は別の名目の間接税、例えば、国民が正面切っては反対を唱えにくそうな「地球環境税」とか「温暖化防止税」といった新たな装いの増税が登場する可能性が高そうだ。

 
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