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『ライオンキング』と〈壬申の乱〉その「類似と相違」から見えること

アメリカの「特殊さ」が浮き彫りに

「超実写版」の驚き

ディズニー映画『ライオン・キング』は超実写版ということで注目されている。

超実写ということは、実写を超えたという意味であり、つまり実写ではない、という意味にもなる。もともとアニメで制作された作品を実際の人間たちが演じる作品が「実写版」であり、今回の作品は、もともとアニメ作品だったものをCGで制作し直したというものである。超えてるとも言うよりも、ずらしただけである。

雄大なサバンナの自然のなかを、数々の動物たちを従える形でライオンが登場する。ほんものに見えるライオンが、いきなり日本語で話し出す。めちゃ驚いた。あまりきちんと確かめずに「吹き替え版」のほうを見ていたのだ。話しだすまでわからなかった。ライオンが日本語かよと驚いてしまった。

ただあれがアメリカ語でも同じだったとおもう。

本物と見紛うライオンが出てきて、いきなり人間の言葉を話すから慣れるまで3秒くらいかかってしまう。アニメだと驚かないけど、実物(に似せている)ライオンが人間語を話すと驚きます。まあそれもひとつの狙いなんだろうけど。

本物と見紛うライオンが次々と出てきて困るのは、あまりライオンの顔が見分けられないところである。顔色や、たて髪の形などで見分けるしかない。でもメスにはたて髪がないので、見分けるのがとても難しい。みな同じに見える。ライオンを見分けられる能力は自分にはないのか、とちょっと打ちのめされてしまう。まあ、原作アニメを見てるから、ストーリーはわかっているけれど、ショックではある。

 

ディズニーが「王」を描くワケ

『ライオン・キング』は王国の物語である。

ディズニーは王の話が好きだな、とおもう。

ディズニー映画には繰り返し王国が出てくる。このあいだ実写化された『アラジン』もそうだし、『美女と野獣』だってそうだ。『シンデレラ』も『眠れる森の美女』も『アナと雪の女王』『ラプンツェル』『リトルマーメイド』みんなそうだ。

アメリカ合衆国には王がいたことがない。

合衆国出現以前の北米エリアには小規模な王はいろいろいたはずであるが、歴史に名を残していない。アメリカ正史においては(白人たちにとっての正史ですが)北米エリアに王が君臨したことがないのだ。イギリスやフランスやオランダの王の土地であったことはあるが、それは植民地でしかなかった。この地の人間が王として君臨したことがない。