前畑秀子〔PHOTO〕wikimedia

日本人女性初金メダリスト前畑秀子の「戦い続けた人生」

『いだてん』で上白石萌歌が熱演

日本初の女性金メダリスト

NHK大河ドラマ『いだてん』。前半のマラソン選手金栗四三篇では、主要登場人物だったピエール瀧の登場シーンをカットしたためなのか、宮藤官九郎脚本らしからぬ“間延び感”が否めなかったが、後半の田畑政治篇では主演の阿部サダヲが持ち味を十分に活かし、テンポのよい運びとなっている。

日本における女性アスリートたちの歩みを丁寧に描いている点も、筆者には興味深い。前半では日本初の女性オリンピアン人見絹枝を中心に女子スポーツの勃興期を描き、後半に入ってからは、ベルリンオリンピック(1936年)で金メダルを獲得した水泳の前畑秀子を主要登場人物としてすえている。

前畑秀子はベルリンオリンピックで金メダルを獲得した〔PHOTO〕wikimedia

前畑秀子は第一次世界大戦が勃発した1914年、和歌山県伊都郡橋本町(現橋本市)に生まれた。5人きょうだいの2番目で、両親は豆腐屋を営んでいた。

幼少期から近くを流れる紀ノ川で泳ぎ、橋本尋常高等小学校では水泳部に入った。当時、水泳部があったことが驚きだが、秀子が通う学校には、紀ノ川を利用した天然のプールがあった。

それは、教師たちが中心となり、川底に杭を打ち、板を貼って作り上げたものだった。教師たちはまた、生徒たちを指導するため、大阪まで正式な泳法を習いに出かけた。その泳法のなかに、秀子がのちにオリンピックで金メダルを取得することになる「平泳ぎ」があった。

 

平泳ぎで国内新記録を次々と樹立した秀子は、1929年にハワイで開かれた「汎太平洋女子オリンピック大会」に出場し、100メートル平泳ぎで優勝、200メートル平泳ぎで2位という成績をおさめる。

その後秀子は、日本初の室内プールを備えた名古屋の椙山高等女学校(現椙山女学園)に進学し、仲間たちと日夜水泳の練習に励んだ。上白石萌歌演じる秀子が『いだてん』に登場するのは、この頃である。