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# 国債

「国にカネがない」報道は真っ赤なウソ~「国債費」を見ればわかる

きな臭い理由を解説しよう

同じ財布でカネを借りて返す

8月末といえば、霞が関の各省庁にとって次年度の概算要求を行う時期だ。全体では6年連続の100兆円超えとなる、過去最大の105兆円規模とみられている。

本コラムで注目してみたいのは、国債の利払いや償還に充てられる「国債費」についてだ。財務省は8月26日、この国債費を前年度要求額より3872億円(1・6%)多い24兆9746億円とする方針を固めた。要求段階での増額は2年連続となる。

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そもそも国債費は、財務省の理財局が財務省の主計局に対して概算要求を行うものだ。来年度の国債費要求額24兆9746億円は、本年度予算額23兆5082億円より1兆4664億円多い。その内訳は、債務償還費が16兆1112億円、利子及割引料8兆8259億円、国債事務取扱費375億円となっている。

 

あまり聞きなれない用語かもしれないが、債務償還費とは文字どおり、償還する国債に対して充てられるものだ。また、これについて「減債基金」という概念も理解しておこう。国債を漸次償還し、その残高を減らすために積み立てる基金のことだ。

減債基金は、非常に簡単に言ってしまえば、「国債を返すために要求される借金」ということになる。ここで考えてみてほしい。民間で社債を発行する企業はあるが、償還をする場合は借り換えをして余裕が出た時に償還する、というのが一般的だ。借金をしながら同じ財布で借金を返すというのが、おかしい状況ということはわかるだろう。

だから、海外の先進国では現在、減債基金は予算に組み込まれていない。大学の財政学のテキストにも、国債の減債基金の制度やその重要性が説明されている。ただ、諸外国では存在していないこと、減債基金がなぜ必要なのかはあまり言及されない。もし学生がそうした質問をしたら、大学教員は説明に困ってしまうはずだ。減債基金を廃止すれば、それに繰り入れる債務償還費もなくなり、国債発行額を減らせる。

次に利子及割引料だが、これがきな臭い。「債務残高1000兆円」が騒がれて久しいが、単純計算で利子は0・8%ということになる。果たして国債金利はそんなに高かっただろうか。過去に発行した国債の利払いも必要と考えて、過去10年間の10年国債金利を見てみても、平均で0・5%。これから考えるとせいぜい利子及割引料は5兆円程度あれば十分だ。

 

それなのに、なぜ多額の概算要求になるかといえば、やはり国債発行額の嵩を増やし財政危機を煽りたいという財務省の意向が組み込まれているのだろう。

利子及割引料の水増しは、年度途中で補正予算を作るときに財源となる。このため、査定すべき財務省主計局は要求する財務省理財局に対し、概算要求を水増ししてするように言っているようだ。省内の力関係上、理財局は従うほかないが、側から見れば馴れ合いだ。

そうして、こうした国際標準からずれた国債費が予算に盛り込まれる。報道では「歳出が過去最高になった」「国債費が予算の4分の1を占め、財政が硬直化している」などと並ぶが、これでは財務省の走狗となって財政危機を煽っているばかりだ。日本の国債の本質的な問題は別のところにある。

『週刊現代』2019年9月14・21日号より

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