仕事のクオリティも高かった

奥山さんがすごいのは、「産後に働く前例」として、仕事に関しては決して妥協をせず、クオリティの高い仕事をどんどん産み出していったことです。もしかしたら多くの母たちが「そこまでしなくてもいいのに」と思うかもしれません。でも先ほども書いたように、「そうしなければ、子どもがいる身で働くことはできなかった」のではないでしょうか。小田部さんは振り返ります。

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僕が『アルプスの少女ハイジ』 をやることになったとき、奥山は女性で初めて(単独名義での)作画監督として『アンデルセン童話にんぎょ姫』 に参加することになって、両作品の制作時期がぶつかっていたんですよ。あのときは大変な忙しさでした。子どもがいましたからね。

子どもは小学生でしたが、僕が徹夜仕事を終えて、朝、仕事から帰ってきて朝食を食べさせるとか、奥山が会社で遅くまで残業してもなんとかその日のうちに家に帰ってくるとか、お互いの時間のやりくりが大変で。それで2人の仕事を維持するために家政婦さんを頼みましたね。この人がとってもいい人でね、子どもを学童保育に迎えに行って夕食を作って、食べさせてから帰るというのをやってもらっていました

お互いに尊敬しあい、助け合あう理想の夫婦だ 『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』より