ハリウッド史に残る「美人女優惨殺」を検死した日本人法医学者の告白

映画『ワンアポ』で話題の事件の裏側
山田 敏弘 プロフィール

「ああ神様、いやだ…」

閑静な住宅街にあったポランスキー邸は、周辺にある家も立派なお屋敷ばかりだった。そこを前日8日の夜更けに、マンソン・ファミリーのメンバーが襲撃した。

その夜、ポランスキー邸から数百メートル下った所で、近くの女学校の小学生たち35人ほどがキャンプをしていた。子供たちも寝静まった12時40分頃、教師の1人が、静寂を切り裂くような叫び声を聞いた。

「ああ神様、いやだ、お願いだ、頼むからやめてくれ! 神様、やめろ、やめろ、やめろ……」

 

その声は15秒ほど続いた。この教師はすでに眠っていた同僚を起こして、今まさに耳にした悲鳴について話した。そして直ちに周辺を車で見て回ったが、異常は見つからなかった。

その時、まさに邸宅の中では、殺人が行われていた。

邸宅から運び出されるテートの遺体(Photo by gettyimages)

犯人は4人。スーザン・アトキンス(当時21歳で、2009年に終身刑で服役中に病死)、レスリー・ヴァン・ホーテン(当時19歳、現在も服役中)、リンダ・カサビアン(当時20歳、釈放済み)、そしてチャールズ・テックス・ワトソン(当時23歳、現在も服役中)だ。

見張りだったカサビアンを除く3人は、ポランスキー邸の敷地に入ると、次々と5人を殺害した。その殺害の状況は凄まじく、必要以上に殺した相手を傷つけていた。法医学の世界では、これを「オーバーキル」と呼ぶ。

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